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たけのこの里とアルフォードは最高の薬


娘のインフルもおさまってきた頃、同級生の二人がお見舞い届けに来るって連絡があった。娘もほとんど平熱になってきたし、玄関にくるだけとのことなので、大丈夫かな、うつらないかしら、「いいよ」とメッセで返事する前に、ピンポーン!とインターフォンがなった。
あなどっていた。小学生のフットワークは今のネットの回線速度よりうんと速いのだ。わたしもあわてて廊下の戸棚を開く。
コロナの前と後で変わったこと。どこのうちにも取り出しやすいところに消毒とマスクが必ず常備してあり〼
先に治っていたけど、わたしもインフルエンザB型の病み上がりなので、急いでマスク着用、手にも消毒スプレー、シュッとして手をすりすりしながら
「はぁーい」と玄関のドアを開けると、週に二日は遊びに来る二人が「こんにちわー」と立っていた。
わたしも「こんにちわ」って言ったら、「○○ちゃんいますか?」って。おいおい、学校休んでおでかけしてないよ~こども面白いなぁ~と思いつつ、「いるよ~」って返事すると、「コレ!おみまい、あげてください」って、一人の子がアルフォード一袋(個包装のあの一つ)を差し出し、もう一人はきのこの山の小分けパックの小さいひと袋を差し出して、「早く元気になってねって伝えてください」って。
すごい、子どもって。
買ってきたんじゃなく、きっとその分自分たちは今日のおやつをちょっとずつ我慢して家まで届けに来てくれたであろう、ちょっぴりのお裾分け。これはなんとちょっぴりな見た目ながら、「友達が休んでるから励ましてやろ!今日のおやつ分けてあげよ!」っていう思いやりと、友達大好きが入っていて、我が家の家宝にできるくらいの友情パワーを載せてきました。
二人は何回も「早くよくなってって伝えてください」って、玄関先で寒い中ほくほくした顔で元気よくひよこみたいに繰り返しました。
娘も起きていたので、「ちょっと待ってて」ってマスクして換気して距離を保ちつつ、あいさつに出てきて、玄関先の友だちと「早く学校来て」「うん、わかった」「早く遊ぼう」「うん、早く遊ぼう」「待ってるからね」「うん待っててね」「早く治して遊びたい」「うんわたしも、わかった」と励ましと回答を何往復かして、「じゃあね」「ありがとうね」で締めくくり帰っていった。
気づかない間におなかの底にじわじわくる滋養みたいなこのやりとりを、わたしはただの村人Bで、ほほう!と見守るのみのモブと化しまぶしく眺めていました。

わたしは、小4くらいまで全然友達がいなかったので、こんなプチプチと喜びが溢れてる光景初めて見ました。
娘にこんな友達がいて心からうれしく……いいや、この気持ちは母としてうれしいという気持ち以上に、まるで自分のことのように思う以上だ。
自分の中の小さい頃の自分がこの瞬間を経験してる、そんな気がしました。
あの頃の感動を、いますることもできるんだなって、この頃よく思います。
タイムマシーンに乗らなくても、過去はどんどん上書きできる。

そんな気持ちで感慨深く、このお菓子は家宝にするといいよと思いつつ娘に手渡すと、袋開けて即食べてました。
わたしみたいにたいそうに感動しないでも、リアタイの娘は、この気持ちを未確認のまま食べて栄養にするのかもしれない。それが思春期なのかなぁ。わたしも、わからないまま食べてたこと、いっぱいあったのかなぁ。
母になると2回目だからよくわかるのかなぁ。
だとしたら、2ターンめのこのありがたい感動をわたしは誰に感謝すればいいんだろう。

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