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鏡越しの姿に涙がでた

先日、義母の検査入院(認知症の疑いと足の痛みのため)が決まった。

義母に「入院前に髪の毛を切りに行きたいから、ついてきてほしい。」と頼まれてついていくことに。

イオンとかの中に入っている1300円ほどで切れるヘアサロン?

今まで義母は美容にはうるさくて、ヘアスタイルにはとても気をつかっていた。そんな義母が絶対に行かない場所だった。

はじめにタッチパネルで女性か男性か選んで料金を払うシステム。

義母は財布を握りしめ、必死でタッチパネルを操作しようとするがもたついていた。どう操作していいのかわからない。わたしが代わりにボタンの操作をしてお金を投入。

一つ一つの作業が遅く、情報を処理するスピードが以前よりも確実に落ちていた。これが認知症か、、、。
お金を支払った後も、財布をカバンにしまうことを忘れてずっと手に持っていた。

スタッフの人がどんなヘアスタイルにするのか聞いてきた。

義母は戸惑いながらも髪をすいてほしいこと、肩ぐらいにカットしてほしいことを伝えた。

わたしは後ろの椅子に座ってみていた。

髪の毛をある程度切ると、スタッフが前髪はどうしますか?と義母に聞く。

義母はオドオドした様子で、あまり切りすぎないように切ってほしそうだった。
でもスタッフには通じなくてわたしを探しはじめた。
どうしたほうがいいかな?と義母が聞くので、前髪は横に流せるようにカットするように伝えた。

また元の席に戻って義母の様子を見ていた。
鏡越しに見る義母の姿は、年老いたおばあちゃんのように見えた。
他人とのやりとりを見ると会話力の低下がわかる。
メガネを外してカットしてもらっている姿は、さらにおばあちゃんに見えた。

義母と一緒に美容院に通っていた頃をふと思い出す。
当時はわたしの後ろでヘアカットを見守っていたのは義母の方だった。
ヘアスタイルを提案してくれてたのは義母だったし、似合う服のアドバイスももらっていたのに。                                                           
今ではわたしが後ろから義母を見守る立場になった。

平日の開店直後の理髪店。
周りには誰もおらず、義母ひとりが髪を切ってもらっている。

座っているすぐ横にラジカセがあって。
誰の曲かわからない、昔の曲っぽいバラードが流れてきた。

なぜかとても切ない気持ちになって、涙が溢れた。

もう元には戻らない時間を嘆いているのかもしれない。
まだ認知症になったことを受け入れられないのかもしれない。
疲れがたまっていてセンチメンタルになっているだけかもしれない。

そんなわたしのモヤモヤした感情とは反対に
髪の毛を切り終わった義母はスッキリした顔をしていた。

笑いながら認知症と向き合っていきたいと思っているのに、
なかなかそうはいかない。いろんな感情が出てきて揺さぶられている。

次の日、次男(旦那の弟)が義母に会いにきて、髪を切ったことを伝えると、

「白髪がやばいやろ。髪きる前に染めなあかんやろ。」
「なんでそんなとこで髪切ったん??」

せっかく髪を切ってスッキリした気持ちで帰ってきたのに、、、。
ツッコミという名目でいつか本気で頭を叩いてやろうと思った。

でも、その次男のおかげでしんみりした気持ちから少し抜け出せた気がする。

義母58歳。まだ若いのに認知症。
認知症になるといろんなことが変わっていく。それを痛感した日だったな。

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