義母を「ウソつき」と言う娘たち
娘たちがばあちゃんの認知症にふれた日について書きとめておきます。
おばあちゃんは嘘つき
今日は義母の家で一緒に晩ごはんを食べることにした。
義母においしい魚を食べさせようと、はりきって食材を買いに旦那と出かけた。その間、3人の娘たちは義母と公園で遊んでおくことになった。
帰ってきたら子どもたちは大はしゃぎ。おばあちゃんとご飯を一緒に食べることにテンションが上がっていた。
食事がはじまり、義母が旦那にさっきあったことを話しはじめた。
「まさお(旦那の友達)と会ったわ。自転車パンクしたから修理に持って行く途中やったみたい。手伝ったろか?って声かけたわ〜。」
長女がすかさず
「ばあちゃん、そんなん言ってなかったやん。」とツッコむ。
義母「えっ!言ったで。」
次女も
「ばあちゃんと手つないでずっと一緒におったけど、そんなん言ってな いやん。」と追い討ちをかけた。
義母「手伝ったろか〜って声かけたやん。」
長女「なんでそんなウソつくん?何も言ってなかったやん。」
義母「言ったで。何でばあちゃんがそんなしょうもないウソをつくん よ。。。」
長女「ばあちゃんウソついてるやん。ウソつき。」
その時、義母に救世主があらわれた。
三女「ばあちゃんは、言ってた。言ってたよ〜。」
ばあちゃんが追い詰められていると感じて
とっさにばあちゃんの味方になったんだ。
自分がウソをついて。。。
5歳の三女からしたら、何が本当で何がうそなのかは関係ない。
この時は末っ子とは思えないほど、堂々としていた。
わたしはどうしていいのか分からず、黙って目の前のアジをさばいていた。義母の家に骨抜きがなく、アジの骨を手でぬくという大仕事をしていたおかげで、会話に参加しなくてすんだ。
ちらっと義母の顔を見たら少し困った様子だった。
この時の三女の対応こそ、認知症の人にすべきことなんだろう。
長女と次女は認知症のことを知らず、ウソをつく大人に対して指摘した。 それだけだ。
何も悪くない。悪いのは認知症のことを話してなかった旦那とわたし。
帰って娘たちにちゃんと認知症のことを話そうと思った。
義母とみりん
話題を変えようと義母に切り出した。
「この醤油さしどこで買ったん?醤油さしで良いの探してるねんな〜。」
義母「これニトリで買ったやつちゃうかな?同じのもう一つあるねん。みりん入れてるやつやけど持って帰り〜。」
義母はすぐに中に入っているみりんを移し替えようとしていた。
わたしはようやくアジをさばきおわり、夢中でアジを食べていた。
だから義母のことを見ていなかった。
義母「これ持って帰って。洗ってないから、洗って使ってな〜。」
みりんを移し替えて空っぽになった醤油さしをもらった。
その後、長女がトイレで叫んだ
「ぎゃーーー!何これ!?」
「なんか変な色のものが中に流されてる。」
わたしは三女がまた何かやらかしたのかと思った。
すぐに義母がかけつけて中を見た。
「なんやこれ?」
事件の匂いがしたのでトイレの中に入ろうとした。
が、義母は「大丈夫」と言って中に入れさせなかった。なので一体どんな液体なのか見ることはできなかった。
長女と次女によると
「しょうゆ?何か変な色の液体がまかれてた。」
その瞬間、謎がとけた。
義母がみりんをトイレに流したんだ。
わたしに醤油さしをあげようと、中に入っているみりんを移し替えようとウロウロしていたところ。
みりんの瓶に入れるのができなくてトイレに流した。
そして義母はそのことを覚えていない。
トイレの中の液体を見たときに、もしかして自分が何かやらかしたのかと気づいた。だからトイレに入れようとしなかったんだ。
でも義母はわたしが醤油さしを探していると知ると、真っ先にみりんをどうにかしようとした。ほんとうに優しい母だ。
トイレにみりんを流してまで、容器を空にしてすぐ渡したかったんだ。
高いみりんをトイレに流すとは。。。現役の義母では考えられない。
そんなありがたい醤油さし。使ってみたら結構液ダレするけど。。。
しばらくはこの『ありがたい醤油さし』を使おうと思う。
家に帰ってから、旦那と長女に「あのトイレの事件の真相は、ばあちゃんがみりんをトイレに流した。でも本人は覚えていない。」と説明した。
長女は驚いていたので、認知症について話をした。
そして漫画でわかりやすく書かれていた本を長女に読んでもらった。
「やっぱり、お年寄りは忘れるねんな。。。」と長女がボソッと言った。
義母の行動を見るとまだまだ心が揺さぶられる。いつになったら動揺しなくなるのだろうか。
でも笑えるところは思いっきり笑っていこうと思う。
しんみりするのは義母も望んでないだろうから。
わたしの好きな謎解きを楽しみながらやっていこう。
事件が起きたら、真相を突き止める。
そして『優しいウソ』で義母と接していけばいいんだわ。
娘たちから大切なことを学んだ日だった。
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