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絵般若。

10年近く前、鎌倉のお寺で授かった「絵般若」。駄菓子店で売っている「点取り占い」的というか北斎漫画風のユーモラスな味わいが魅力だけれど、江戸時代に考案されたため絵が何を表すかわかりづらく、ふりがながなく読み進むのが難しく、いつか自分で読めるように描いてみたいと、この10年の間に何度か思っており、その「いつか」がやってきました。

今回は母が使っていたポケット経本と、本棚の『笑い飯哲夫訳 般若心経』を元に、市販されている絵般若グッズなどもネットで参考にしつつ作成しました。

では。右から下へ読み進める形です。

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有名な「色即是空」「空即是色」などが出てきました。最後は二枚目にかけて「舌身意。」から続きます。

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難しいのは「遠離一切顚倒無想」の「り」に何をあてるかで、苦肉の策です。同じく「無色声香味触法」の「そく」も今後要検討です。あと「乃至」の「ない」は金庫の絵にしてみましたが伝わるでしょうか。二枚目の最後の方から三枚目の一行目にかけて、自分の好きなポイント「阿耨多羅三藐三菩提」(あのくたらさんみゃくさんぼだい)となり、佳境に入って行きます。

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「是大神呪」は哲夫さんの訳によると「大いなるはかり知れない教えである」とのことですが、「じん」には自分の好きなお酒の「ジン」をあてました。他に「故知」(ゆえに知るべきである)の「ち」は従来の絵般若では裸(ハリのあるものと、垂れ下がったものと「お乳」にもバリエーションあり)でしたが水着を着せてみました。

他にも従来の絵般若を踏襲しつつ、そこでは読みづらかった部分は自分で置き換えたりもしましたが、「つ」を爪にしたのは無理があるかなと。「ぜ」を銭の半分の絵で表現しているのは従来通りです。

よく登場するモチーフは「子(故)」「6(無)」「麩(不)」「食う(空)」で、特にお麩だらけになるので「封」も入れたものの「ふう」なので「ふ」にはなっていないという...

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今年のはじめ、一度写経をしてみたいと思い立ち、真言宗のお寺で長机とパイプ椅子が置かれたお堂の写経場に近づいたところ、すぐ隣でトートバッグやTシャツなどグッズが賑やかに販売されていて、あまりにも俗世を感じる空間に戸惑い、断念。

今回絵般若を描くにあたり、自分が目にした写経空間を思い浮かべ、自分の中にある俗っぽい感覚はそのまま生かすことにして、それも仕事の合間の気晴らしに作業しました。あと何度か絵般若を描いて、唱えられるようになりたいのと、苛立ちやら焦りなど、今、悟りとはかけ離れたところにいる自分の心が変わって行けばいいなと思います。

最後の方の「ぎゃていぎゃていはらそうぎゃてい」は、笑い飯哲夫さんによると「(厳密には他に訳し方はあるけれど)個人的には『ガンバッテー』みたいな感じでいいと思います」とのことなので力強く唱えたい箇所であります。

マイ「絵般若」作り、一回目でした。

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