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奈良の惑星から、もしもし。

数ヶ月前から暮らしているまちの「ガイドブックを作りたい」と思いつき、印刷費を集めるためのクラウドファンディングを今日、2月6日からはじめてみました。

画像掲載の許可申請やらリンクのお願いやガイドブックに向けての取材協力のお願いなど、説明下手の自分が各所をめぐって交渉するのは結構ハードルが高くて、あまりの面倒くささに何度か心が折れそうになりましたが。

直接お願いしてみると地域の皆さんはあたたかくて、各関係機関の方もメールや電話で丁寧に対応してくださって、中には「そういうの待ってました」「楽しみ!」と背中を押してくれる方もいらして、ひとまず最初の一歩までたどり着けてよかったです。

少しだけ経緯を。

私が一坪のお店(と奥で仕事)をしているのは観光地の少し外れで、住宅地の中に個性的なお店が点在しているものの、一見、何もなさそうな通りが多く、平日や雨の日などはこの世でただ一人になったんじゃないかと思うほど静かなことがあって。

下の画像は、私が昔、見知らぬ土地に引っ越したばかりの頃の漫画で、知り合いのいない町で仕事が途切れ、友人からも連絡がなく、シーンとした部屋の中で過ごしていた頃のものです。

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古くて元画像もなく見づらいと思うので、一部拡大したものも載せます。二週間どこからも連絡がなく、来るのは請求書やDMばかり、というコマの続きがこちら。

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あまりにも静かすぎて、たった一人で孤島にいるような気分だ…という話でした。

実は最近、その頃のことをよく思い出すのです。お店を開けているのに一日中、または数日お客さんがお見えにならないと、こんな風に思えてきて…

cosmos-2_アートボード 1

自分の店だけ異空間にぽっかり浮かんでるんじゃないかなぁ…って。

そしたら、同じようなこと(この世で自分一人なんじゃないかと思う)を他のお店の方も仰っていたという話を耳にして、「ああ、自分だけじゃなかったんだ」と、なんだかグッと来て、こんな風に感じたんです。

cosmos-2_アートボード 1 のコピー

同じように部屋に一人でいても、パソコンに向かって仕事だけしていた頃の孤島ぼっち気分と、今、お店をして周辺のお店の方のことも感じながらの惑星ぼっち状態は、大きく違うと。

おまけに、うちへ寄ってくださるお客さんがよく「近くの〇〇さんから紹介されて来ました」、「△△さんにここへ行ってみてくださいって教わって」などと仰るので、他の星の方が私の星へも寄るようすすめて下さってるのが分かると、「ああ、他の星の人よありがとう、そちらもどうかお元気で」と心の中で手を振るのです。

築百年の一軒家の土間を利用して一坪の店をはじめて数ヶ月。それよりもずっと前から他の惑星では、それぞれ古い家の持ち味(窓も庭の景色も、店のある通りも)を生かして素敵な空間を作っておられて、外からのお客さんを受け入れ、地域の人もお店の人同士も利用するので常に情報が行き交っていて、うまく言葉にできないけれど「お店はその地域の人の営みを視覚化させたり、町並みをブランディングしているのだな」と思ったりもします。

登録有形文化財などに指定される物件とは違い、一般の古民家はある日突然、容赦なく取り壊されてしまう(ように見える)ものですが、それはこの町に限らず以前から何度も見てきたことではあるけれど、お店を始めてみると、そのことが本当に残念というかもったいなく思えて…

せめて、今このまちで昔ながらの建物を活用しているお店や、そのお店が点在している不思議なエリア散歩を、少しでも多くの方に体験してほしくて、お散歩ルートをナビするガイドブック制作を思い立ったのでした。

選挙カーのウグイス嬢のように大声で訴えたいわけじゃなく。

大勢の人がやってきてこの界隈のお店に行列ができるのを望んでいるわけじゃなく。

ただ、「奈良きたまち」という味のあるエリアと波長が合いそうな、どこかの誰かに何かが伝わって「散歩してみたいな」と思ってもらえたらいいなと思って、小さな惑星から発信しています。

どんなまちか、その片鱗だけでも伝わればと思いつつ紹介しているので、クラウドファンディングの記事をどうか見てやってください。

下の絵は、ガイドブックに登場するアレコレです。

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