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一坪のお店を開くまでと、その後の話。

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両親の介護を終え、その後どうしよう…と思いをめぐらせ、思い立った引越しと小商いの話。
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#小商い

あの店主さんが無愛想な理由。

雑誌やネットなどでお店の商品や展示棚を見たり、スタッフブログや店主のインタビュー記事を見て、「いいなぁ」と思っていたお店へやっと出かけてみたら、「あれ…?こんなに無愛想な店だったんだ」と驚くことが多い。 メディアやSNS等を通じて一方的に親しみを覚えていた店の人が、ニコリともせず無表情でレジ対応をされて、会話どころか、こちらの顔を見ようともされないし、近寄りがたいオーラが… ずっと前、知人から外国の方を紹介されて、笑顔で握手を求めたら、無表情のまま、しぶしぶ(といった体で

そんなこんな。

築100年ほどの家に越してきて、玄関部分で一坪の店を始めてから、半年あまり。 外出制限が出ている期間中に店を閉めがちになってから、何となくなし崩しに閉める日の方が多くなって、当初よりモチベーションも下がっている今日この頃です。 それでも、週に何度か店を開けるとお客さんと何かしらのやり取りがあって「止まっている空気が動く」というか、締め切った部屋でデザインの仕事だけをしているのとは違い、たとえお客さんが誰もこなかったとしても、程よく気持ちが引き締まって諸々はかどるような気が

今できることと、気づいたこと。

フリーのデザイナーとして、そして一坪雑貨屋の店主として、今思うこと。 こんな状況で外出や旅行がままならなくなって、会いたい人と会えず、約束をキャンセルするたび「1日も早く、元どおりの暮らしに戻りますように」と口にしていたのは数週間前くらいまでです。 最近は「元に戻るのではなく、暮らし方を変える覚悟がいるのかもな」と思い始めました。 例えばマスク。 私は花粉症のため毎年1月中旬からマスクをつけ薬を服用して5月初旬頃まで過ごすので、毎年、一年の半分近くは家の中に使い捨てマ

次へ行くのだ。

前回noteに書いたのは、クラウドファンディングを始めた日だった。 あれから二ヶ月近く経ったのですね。(前回の記事はこちら) 完成したガイドブックはこんな感じです(特設サイトへのリンクあり)。 この数ヶ月、ガイドブックのことを進めつつ、とは言っても実際にページの内容を作ることと同じくらいかそれ以上に、紹介したいと思うお店や施設、商品や風景などの掲載をお願いすることに時間を費やし、飛び込みセールスのような気持ちも味わったりして、ともかく色々勉強になりました。 今まで、何

奈良の惑星から、もしもし。

数ヶ月前から暮らしているまちの「ガイドブックを作りたい」と思いつき、印刷費を集めるためのクラウドファンディングを今日、2月6日からはじめてみました。 画像掲載の許可申請やらリンクのお願いやガイドブックに向けての取材協力のお願いなど、説明下手の自分が各所をめぐって交渉するのは結構ハードルが高くて、あまりの面倒くささに何度か心が折れそうになりましたが。 直接お願いしてみると地域の皆さんはあたたかくて、各関係機関の方もメールや電話で丁寧に対応してくださって、中には「そういうの待

ワクワクとうんざりはセットなのだ。

新しい町で暮らし始めて二ヶ月半、入り口の一坪スペースで小さなギャラリーショップを始めてもうすぐ一ヶ月になります。 基本的にお店部分は無人スペースで、肩幅半分ほど表の戸を開けている状態なので、 お客さんが入ってくると「ガラガラ…」という音がするか、肩を横にしてそっと入ってくる器用な方もおられて、そんな時は、ふいにお客さん同士の会話がしたり、お一人様の場合は本や古雑貨などを手に取っておられるらしき「カタン、コトッ」という音がしてようやく気づくのだけれど、呼ばれる(声をかけてく

お店、という創作活動。

劇的に、違うものなんだなぁ。 今までの引越しは、仲介業者さん経由で賃貸契約した部屋に住んで、周囲の店を開拓して図書館に通って、友人や身内が訪ねて来た時に案内するようなスポットも見つけて…でも結局は室内でずっとこもって1日も外に出ないことの方が多い生活で、数年経っても知り合いどころか顔見知りくらいしかできず、それも、よく行くお店の人と皮膚科と耳鼻科の先生だけ…というのが普通でした。 物件や住む町を探す際のポイントは今までだいたい、「家で仕事をするので住みやすい環境であること

「また来よう」、と「もう、来ないかも」。

お店って大変なんだなぁ、と、まだ開店していないけど実感しています。 新しい町で暮らし始めて一ヶ月。 準備は少しずつ進んでいて、今はこんな感じ(看板は下駄箱の余っていた棚板で制作)。ただ、自分の店の準備より、この町のお店を発掘・調査する方に今は重きを置いてしまっているかもしれません。 新しい町の地図を自分の頭と体にインプットするため、これまでいろんな道を歩いて、文具はここ、画材はここ、コーヒー豆は当面ここ、パンはどうしよう、はっ、こんなところにケーキ店が。などと発見しつつ

すべて借り物だから。

9回目の引越しを終え、片付けや整理がおおかた終わりました。 自分の人生をすごろくに例えて振り返ったり現在地を俯瞰することがある私は、引越しについても1コマ進む、2コマ進む、一回休む、などと考えてきたのですが、今は新たなステージにコマを進めた心境です。 とはいえ、引越し後の荷ほどきをしながら、コーヒーを飲みたいのに(豆とフィルターはあるのに)ドリッパーがなかなか出てこず、数日かかってダンボール(全部で50個)を開け続けても出てこないので、荷造り中に捨てたか忘れてきたのかも、

3コマ進む。

何年くらい前からだろう、飲食店以外のお店で、お茶を振舞われることが増えたような… 和菓子店で試食を兼ねて出されることはもともと多く、土産物店などでも時おりあったけれど、作家ものの細々した雑貨やヴィンテージの紙雑貨を扱う狭い店内などで入店直後に出された時など「え、今?商品にこぼしたらどうしよう」と戸惑う場合も。3人連れで店に入って全員にお茶を出され、誰も何も買わずに店を出るのも気が引けて「自分が代表して何か一個買うか〜」となることもあれば、疲れているときは一息つけてありがたい

2コマ進む。

子供の頃、雑貨を扱う店に行くのが好きだった。サンリオなどの文具を売る店やソニープラザはもちろん、年齢不詳のマダムが大人向けのレースのスリッパや手鏡、猫のブローチなど非実用的なものばかり売っている店に意を決して入ることもあった。 思春期以降にも様々な店に興味を持ち、チープでキッチュな雑貨やレトロな駄菓子やおもちゃを扱うお店、不思議の国のアリスをイメージしたレースやピンタックがあしらわれた洋服や小物を売るお店、自分ではまったく買うあてのないステンドグラスのお店、北欧系の家具や国