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落下の季節

資料チェックの締め切りはすぐそこだった。
逃げ回るのも嫌いじゃないけど、ほんとうにそんな余裕のないスケジュールだし、手を抜きたくなかった。
手を抜いてしまった、という後悔を持ち続けることの方が、億劫だった。

資料の中に、君の書きかけの曲のことが少し書かれていた。
そうか、君はまた書いているし、
しばらくしたら、この曲に会えるんだ、と思った。

便宜上、自分をバンドマンと形容するならば
わたしはバンドマンの生き方しか知らないし、
わたしの友達は、というか
バンドマンは、というか
とにかく、わたしのまわりはぐずぐずした人が多い。
漏れなくわたしもそのひとりだ。
ぐずや弱さが、もうよくわからない作用で働いてしまって、
それはもはや強さかもしれないが、当人たちはぐずだと思ってる。

音楽を好きだから続けている、なんて言える人はきっと少なくて、
わたしたちは困ったように笑うだけだろう。

ただ、こうして
誰かの次の曲の気配だったり
タイムラインに流れるライブ告知で
なんとなく生存確認をして、
また困ったように笑う。
よかったと思うし、悔しいとも思う。

でもまた出会うため、と近頃は思う。
もう世界平和なんて祈れないから、
せめて、手の届く人や、顔を見たい人や、腐れ縁とか、

もしよければ、
この音が必要な誰かに出会えちゃったりしたら、すごくラッキーだ。
そのための努力ができなくても、わたしは祈ってる。

次の音が鳴らせない日々が、どれほど続いても

季節が変われば、きっと君の新しい曲が届く。
きっと良い曲だろう、
悔しいくらい、良い曲だろう。

わたしは、待っている。

また君に会いたい、と

君と話がしたいと思ってる。

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