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君に伝えたい百の言葉

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あなたに伝えたい言葉が残っている。見失っても、百個積んだ先に何かがあるかもしれない。光を追う者のエッセイ集
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2019年5月の記事一覧

ふたりとさんにん

「3人で行くのはちょっと…」と言われたことがある。 Aくんと遊びに行こうと話したときに、 仲の良いBくんも誘おうよと言われたときのことだった。 べつに、AくんとBくんは不仲ではない。 3人、というのが苦手だと言われた。 ふーん、とその話を聞き流したことを覚えているが、「そういうのがあるらしいよ」と母は言った。 3人は苦手だけど4人はいい、とか 4人以上になると苦手だ、とか。 人によって、そういう感覚があることもあるらしい、と。 言われてみればわたしも、4人以上のグループL

残響

原点回帰でも、なんでもなかった。 1曲だけうたえるライブ、 36人もいるならば べつに課せられたものなどないし 「悪い魔法」をうたおうと思っていた。 ただ、わたしのピアノのための曲。 いやなんか違う、と思ったのは前日のスタジオだった。 流れる音があった。 あとは、会いたい、それだけだった。 もう1度この曲に会いたい。 わたしはずるいから、 もうピカロステイトの鍵盤だったとは名乗らないし、 やっぱり、はらぺこというユニットをやっていた、というはなしも 聞かれなければしな

もう意味はない

ライブのときは、止まった時計をしている。 もう、あまり意味はない。 好きな人にもらった。 とても好きなうたをうたう人だ。 企画ライブなのに、ギタリストが当日の朝インフルエンザになって、 わたしはうろたえていた。 2ステージのライブ、自主企画 わたしは、まいっていた。 その男はいつもと変わらずまぶしかった。 わたしのステージの前にうたってくれた。 わたしは、自分が苦しくなるであろう企画ライブの出順前に彼らを置いた。 逃げ出さないように、戦えるように それを貸してください、

ジュークボックス

今日はうちで飲むか、てはなしになった。 前に下北で飲んだのが一年以上前らしい、ということに愕然としたが 集いの苦手なわたしが、比較的に会い続けている友人、と思っている。 大学時代は先輩だった男である。 せっかくうちに来てくれるわけだし、 このあいだスガシカオを聞いて、 著書「愛と幻想のレスポール」を読んだわたしは、 なぜかいろんな音楽を聴いてみよう、と思っていたのだ そうだ、 ひろきが来るのなら なんか適当にCDを持って来てよ、 パソコンに取り込むから、すぐ返すからさと

夜道

この約束ばっかりは守れない 「暗い夜道をひとりで歩かない」 わたしは完全に夜型だ。 今日はなにしよう?というよりも、 どうせ今日も終わるからなにしてもいいだろ、ていう 投げやりな感じの方が向いてる。 どうせ寝るだけなら、皿でも洗ってみっか そんなふうに 大のおとなが飲み屋で時計を見たら深夜1時だった。 笑ってタバコに火を付けて歩き出した。 彼女の家まで3キロ、 わたしの家まで10キロの見知った土地で 知らない道を通って、 見知った駅をいくつか越えて、 また越えて、 わ

「愛と幻想のレスポール」を読んで

勢いでこれ、をようやく読んだ。 発売したのは、もう2年も前なのか… 発売してすぐ買ったのに、途中までしか読めなかった。 10代くらいまでは、世界はぜんぶ敵だった。 たぶん、作られたもののすべてが敵だった。 わたしもできる、と思って、負けたくないと思った。 20代になって、世界は脅威に変わった。 「わたしは到底、この人みたいになれない」と思って 逃げていた。 怖いことがたくさんあった。 身軽になったのは、つい最近だと思う。 以前、この本を読んだときは 「スガシカオはやっ