版画のここが面白い!②

以前の記事で木版画に使われる和紙の種類とその紙が絵画表現に与える印象について書きました。(詳しくはこちら↓)

今回は木版画ならではの「木目」についてです。

木版画は当然ながら木を使って紙に絵を摺って(すって)いきます。

摺るとその紙には木の「木目」が移ります。

「木目」とは木の年輪や導管などによって生じる表面の模様です。

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これは当工房の古原汐理が作った作品ですがどこに木目が現れているかわかりますか?

背景の薄く浮かび上がるような白い線が木目です。

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もう一度全体図をみてください。木目があることによって背景に渦や波の起こす空気の流れのようなものを感じることができると思いませんか?

この「木目」というのは当然木版画ならではのもので、作家は版を作る時にどこにどのような木目が入ればいいか、考えながら木を選択することもあります。

この「木目」は水性の絵の具を使った水性木版でなければ出すことはできません。

油性の紙の上に絵の具をのせるという方法とは違い、紙を染め上げる水性木版だからこそできる技法なのです。

作家が木目をどのように生かして絵を作っているかを観察するのも木版画鑑賞の楽しみの一つと言えます。

是非、和紙と木目の風合いを楽しめる木版画を鑑賞してみてください。

その際は写真よりも生で見ることをお勧めします。

和紙の繊細なディティールは写真では潰れてしまうことが多いので。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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