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もう一度ジェットストリームアタックだ!

やはり哀・戦士編はすばらしい。
なぜこんな魅力的なのか、ラル大尉の漢気なのか、ハモンさんやマチルダさんの気丈さなのか、はたまたグフやドムの格好良さなのか。
いやいや、戻ってきた赤い彗星のジャブローでの戦闘だって外せない。

このままだとレーザが皆無なので、ジオンのMSに搭載されたビーム兵器にちょっと注目してみよう。
ドムに搭載された固定武装の拡散ビーム砲だ。

ヴィジュアルは出射口から広角に広がる光学兵器である。
広範囲に攻撃できる命中率の高そうな兵器ではあるが、どうやらMSに対してダメージを与えることはできず、パイロットへの目眩し程度の効果しかないようだ。
とってもジェットストリームアタックと相性が良い兵器だが、水瓶座の黄金聖闘士くらい冷静になったレーザ屋さん視点では不思議な兵器に思えてくる。

まず、産まれた瞬間から収束率の高いレーザをわざわざ拡散してしまう点だ。
拡散したらレーザを含めた光学兵器としての価値は一気に下がる気がする。
光学兵器は、ビーム兵器もソーラレイも、一点集中による高密度によって照射対象を加熱し溶融させられるのに、この特徴を自ら手放してしまっている。
実は攻撃対象にダメージを与えるのが目的ではなく、目眩しにフォーカスした兵器なのかもしれない。
地球圏での戦闘に特化したドムは、粉じんを巻き上げる高速ホバー移動のため、舞い上がった粉じんによって出射口が汚れレーザの威力が落ちやすい。
このような運用を想定したのであれば、現場メンテナンスの効率化として理にかなっている。
当時のMS開発は暗中模索であり、限られた時間とデータの中で目眩しという戦闘補助機能を搭載したとしても不思議はない。
クリリンがドドリアさんにかました太陽拳のように、戦闘離脱にも一役買ったであろう。
よし、拡散ビーム砲が目眩し兵器ということには一旦納得だ。

だがしかし、目眩しのためにレーザを使うことを理解することは難しい。
どうせ拡散させて広角に広げるのであれば、レーザよりもよっぽどLEDの方が向いている。
LEDは産まれた瞬間から広がっているし、何よりレーザより圧倒的に安い。
さらに目眩しの対象がパイロットの目やカメラであるのだから、波長幅が狭いレーザよりも、波長幅がUVからNIRまでカバーできるLEDの方が受光波長の特性を受けにくく、兵器として有用性が高いのではないだろうか。
こんなことを考えてしまうのが、中二病を拗らせたレーザ屋さんの面倒なところであり、お茶目なところでもある。

LEDを使ったら名称は拡散LED砲か…、強そうな名称ではないし、なにより浪漫の欠片もない。
そもそも「砲」なのかすら怪しい。
拡散LED砲を放って踏み台にされたら、ガイアもマッシュもマチルダさんもうかばれない。
中身はLEDでも名称は拡散ビーム砲が良いな、あながち間違っていないし。

余談だが、後の作品に登場する拡散ビーム砲は、広角に光を拡散するのではなく、広角に収束した光線を撒き散らすような描写が見えるので、技術者も兵器としての価値を見出してくれたのだろう。

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