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貫け!パルスレーザー砲

魅惑の1990年代、ロボット大集合なゲームに熱中する厨二真っ盛りのはねいぬは、頭長めの金色ロボがはなつパルス・レーザー砲が大のお気に入りだった。
ほかのビーム兵器とは異なり、広がることもない細いシャープな光線が敵を撃ち抜く様は、とても貫通力が高そうでどんな装甲も撃ち抜いているように見えた。
そのビジュアルは敵の装甲だけでなく、はねいぬの厨二心も撃ち抜いていたのだ。

それから数年後、はねいぬは卒論で本当のパルスレーザに出会う。
確かYAG第3高調波で、パルス幅は数10ナノ秒、出力は10Wに満たなかったと記憶している。
集光性は良かったが、それでも撃ち抜けるのは厚さ20~30um程度の金属箔で、ガラエポ基板の貫通穴加工は全く出来なかった。
その結果にはねいぬは愕然とした。

パルスレーザは、どんな分厚いロボットの装甲を打ち抜けると勝手に思い込んでいたのに、アルミホイルみたいな薄っぺらな金属しか撃ち抜けないのかと。
そしてやっと気付けた。
パルスレーザはOn/Offを一定周期で繰り返すレーザで、出力は連続波レーザの半分にも満たないこと。
その貫通力は熱による溶断ではなく瞬間的に高まるピークパワーから生まれることを。
そして、パルスレーザは確かに穴あけに適したレーザではあるが、ゲームやアニメのような貫通力を持っていないことを。

失意と共にアルミホイルを撃ち抜く実験を繰り返し、社会という乱気流に巻き込まれて20年、ジムがジェガンになるようにパルスレーザは急成長した。
20年前にはアルミホイルの穴あけが良いところだったが、2024年になれば1秒の照射で厚さ0.5-1mmの金属に貫通穴を開けられるようになったのだ。
1mmの厚さの金属ともなれば、ほぼ鉄板である。
貫通穴は直径1mmにも満たないので空気穴程度の穴だが、それはいい。
厚さ1mmの鉄板をわずか1秒で撃ち抜ける事実が、大きな進化であり浪漫なのだ。
鉄板どころか、超硬スチール合金やガンダニウム合金を撃ち抜くのも時間の問題だ。

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