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『レーザー』vs『ドリル』

レーザとカッターが切断技術で戦うように、レーザとドリルも穴あけ技術で戦っている。
レーザは一点集中型なので、ドリルクラッシャーで開けるような大穴の開口は苦手だ。
苦手な場合は、しれっと違う技術で戦う。
大穴を開けたければ、ドリルじゃなくて切断すれば良い、の精神で切断する。
その結果、レーザとドリルの戦場は、必然的に微細穴になるのである。

微細穴加工は切断に次ぐくらいの勢いで、レーザがドリルと戦えている。
理由はもちろんコストと精度が大きな割合を占めるが、環境視点も追い風になってきている。

まずは、コスト。
量産工程においては、コストが全てである。
安いだけのコスト追求時代は終わり、2024年のコストとは、生産性、ダウンタイム、フットプリント、消耗品などをひとまとめにしたCoOである。
CoOの考え方は、レーザと相性が良い。
ランニングコストが安く、消耗品交換の頻度はとっても少なくダウンタイムが短いレーザは、いつも導入時のイニシャルコストの高さから心理的に高価だと思われてきたからだ。
ドリルみたいに交換不可避な消耗品の少ないレーザは、微細穴あけ加工に置いては、最安加工である。

そして精度。
レーザが開けられる穴の最小単位は原子分子単位だが、さすがにそれは今はムリ。
現実の量産では、最小でφ20-50μmが良いところだ。
だがしかし、この穴径はかなり小さい。
しかも隣り合う穴と穴の間の、壁の厚みは10-20μmとかに出来る。
振動と熱が大きいドリルではなかなか難しい精度でも、レーザはオチャノコサイサイだ。

そして最近のレーザの強みは、なんといっても環境への配慮だ。
加工中の見た目が派手なレーザは、環境へも派手な影響を与えそうだが、実際には環境にとても優しい。
ドリルは加工中、冷却のためにクーラントやら冷却水やらを、文字通り湯水の如く使う。
それに対してレーザ穴あけはどうだろう。
冷却のために風を吹き付けるが、ドライエアか窒素くらいだ。
地球との共存を図ろうとしているのが、心から伝わるハートフルな加工だ。

コスパが良くてエコ、レーザを使う理由はシンプルで強い。
みんな、レーザ使おうよ。

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