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『レーザー』vs『カッター』

レーザにはビジネス上のライバルがたくさんいる。
穴あけ加工ではドリルがいるし、切断加工ではカッターがいる。
石器時代から活躍しているドリルやカッターに、生まれてまだ64年のレーザが打ち勝たなければ、量産という一番のボリュームを持つビジネスにつながらないのだ。

そんな中で切断加工は、ライバルのカッターの牙城を少しずつ切り崩している。
人類が1000年単位で加工技術を進化させたカッターは、本当になんでもスパスパ切ってしまう、スパスパの実を食べたのかと思うほどに。
紙に髪、布、材木、分厚い鉄板から極薄の箔、ガラス、プラスチック、シリコンウェハ、それに人体すらもである。

スパスパの実を食べた能力者のようになんでも切れるカッターがあるのに、レーザ切断が存在感を示している理由はなんであろうか。

1つ目の大きな理由は、もちろんコスト。
レーザ切断の方がカッターより安ければ、レーザを選ぶのは世の理である。
鉄板、(窓)ガラス板、プラスチック板の切断は、まさにコストからレーザが使われている。
導入コストは高価なレーザだが、消耗品がほぼなく電気と空気だけしか使わないので、意外にもランニングコストは低い。
「DragonFire」が1発10ポンド未満とあったように割安なのだ。

2つ目の大きな理由は、加工精度だ。
レーザは一点集中して切断するので、切断幅が狭くて切断部がとてもキレイなのである。
この精度の高さは切断後の後処理を不用にするという、コストメリットにも通ずる。

しかし、それはいい。
大事なのは精度である。
電子部品や半導体に関連するものの切断には、この精度こそがレーザ切断が選ばれる理由である。
(電子部品向け)ガラス、(電子部品向け)フィルム、シリコンウェハは、まさに高精度切断の要求からレーザにお声がけされている。

そして3つ目の理由、それはカッターでは切れない材料の切断である。
カッターで切れないものがあるのかと思われるかもしれないが、コズミックイラの戦闘を思い出して頂きたい。
物理的な武器はフェイズシフト装甲の前に無力であったではないか。
そう、世の中にはレーザでしか(うまく、キレイに)切れないものもある。
セラミックス、CFRPなどの複合材料、ダイヤモンドなどはカッターでとても切りにくいので、レーザの出番になるのである。

レーザとカッターの戦いは、これからもまだまだ続いていくだろう。
それは千日戦争どころか1000年戦争にも及ぶかもしれない。
そしてこれは、はねいぬ達レーザ屋さんが望んだ戦争でもある。
勝利者などいない戦いだが、負けられない、はねいぬ達の後ろにはレーザがある。

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