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The THE BOHEMIANS最終話(ヒーローの帰還)

新しい音楽に対するわたしの虚無感を打ち砕いてくれたTHE BOHEMIANS。そのミラクルはいつまでも続くものと思われた。

前話(↓)

3rd Album「THIS IS POP !!!」も、2ndの流れを引き継ぐ素晴らしい内容だった。

3rd Album「THIS IS POP !!!」
90点!
1曲目「恋はスウィンギン・イン・ザ・レイン(ベスト盤収録曲)」から全開だ。

山中さわお氏(the pillows)との出会いの曲でもあるという。氏がこの曲を気に入ったことから、山中さわおプロデュースとなった現在の流れにつながった。
ここで興味深いと感じる符号が、the pillowsのデビューシングル「雨にうたえば」にタイトルが非常に似ていること。両者が1950年代のミュージカル映画「Singin’ in the rain」に起因しているのか、ボヘミアンズがピロウズを意識してのことなのか(だとしたら、無名のファーストシングルをチョイスする愛がすごい)、まったくの偶然なのか。

話が少し逸れるが、the pillowsの「雨にうたえば」はあまり(まったく)知られていないが、すごくいい曲だ。
ライブバージョン(20年キャリアを積んだあとの演奏)で聴くともっといい。氏は「Singing in the rain, walking on the rainbow!」と志高く歌う。アレンジが斬新で、メロデイも良くて、そのメロディーラインは初期のミスチルと比較しても引けを取らない。というか、ピロウズがミスチルの先輩だ。「walking on the rainbow!」の歌いだしからはじまる、2ndアルバム収録の佳曲「虹の彼方へ」は、ピロウズを意識してのものではないかと感じられる。もっと近年の、ストレンジカメレオンのカバーからもリスペクトはうかがえるし、隠そうともしていない。
というわけで、ミュージシャンは脈々とつながっていく。

話を「THIS IS POP !!!」に戻すと、2曲目「愛しのマリーナ」、3曲目「シーナ・イズ・ア・シーナ(ベスト盤収録曲)」も勢いは止まらない。「ラーメンは伸びてしまうよ」、おっさん、じじい、の単語でも指摘したが、普通は恰好よくない歌詞をこのバンドは本当に格好よく歌う。2ndの名曲「夢と理想のフェスティバルに行きたい」と同質量を持つ疾走ナンバー。最初の3曲でほぼほぼ90点獲得なのである。

ファーストからのミラクルが、サードまで継続するのは素晴らしいことだ。普通、だいたい息切れする。
たとえば、あのGuns N' Rosesにしても、本当にミラクルなのは1st Albumだと思うし、オアシスも最初の2枚(+「Whatever」収録のミニアルバム)だと思う。
ここまでくると否応なく期待してしまうのが、次の4thアルバムだろう。
しかし。

4th Album「BOHEMIANS FOR LIFE」
60点
わたしはどう多めに見積もっても60点しか付けることができない。
しかも、名曲でライブの定番「That is Rock and Roll」が入っているという理由が点数のほとんどを占める。

ミラクルは、消えてしまっていた。
(※あくまでわたしの主観です。そもそもこれまで使っていたミラクルという言葉が主観でしかない)
制作期間がほとんどなく、十分に練られないままリリースされたという背景があるようだが、わたしは本アルバムでのチャレンジが時期尚早だったのではないかとみている。
アルバムを通して聴くと、これまでのオールドロックではなく、オールドポップスの要素を大胆に取り入れようとしているのがわかる。
だが、実はポップスは難しい。いっけん、さらりとして聴こえる演奏でも、技術的にはものすごく難しいことをしていたりする。
仕方がない。というか、十分だ。本当に楽しませてもらった。
さようなら、ぼくのミラクル。

で、話は終わらない。
もう少し続きがある。
4th Albumで彼らがやろうとしていたことは、9th「the popman’s review」で結実したのではないかと思う。

9th Album「the popman’s review」
90点

そして、ひとつ前のアルバム、
8th Album「DELICIOUS」
98点

もう主観でしかあり得ないけど、2nd、3rdの頃に戻ったような気持ちで聴くことができた。
主観の中に潜り過ぎてしまって、これ以上評価を続けることはできないと思う。
3回にわたり読んでいただきまして、ありがとうございました。





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