心が踊らない

 今日もリビングで一人昼食を食べながらラジオをつけていた。ラジオ好きな私は、リビングで食事をする時も、テレビではなくラジオをつけることの方が多い。
 この日も地元静岡のラジオ局のK-mixのお昼の番組「Wiz.」をつけていた。
 冷食の天丼を食べていると、ゲストコーナーが始まった。この日のゲストはラッキーキリマンジャロというバンドだった。
 ラッキーキリマンジャロ…、名前は聞いたことあるんだけど、曲はあまり知らないんだよなあなどとぼんやりと思いながら天丼を食べていると、彼らの新曲『果てることないダンス』が流れてきた。
 そのダンスミュージックに何となく耳を傾けているうちにはっとした。
(あれ?心が踊らない…!)
 それはラッキーキリマンジャロの音楽が悪いとか耳に合わないとかそういうことではない。ただたんに自分がそのような音楽を欲しなくなってしまっただけなのだ。
 特に20代前半の私は、dopingpandaやサカナクションや1時期のくるりがやっていたようなダンスロックが好きでよく聞いていた。
 四つ打ちのビートやシンセ音がとにかく聞いていて心地良いからだ。それに気分も上がる。心が踊るとはまさにこのことを言うのだろう。
 ラッキーキリマンジャロも、先に上げたバンドたちに近い音楽だった。心が踊らないわけがない!そう思っていた。
 だが天丼を食べ終えデザートのプリンに手を伸ばそうとする私の心は、何となくの心地良さは感じるものの、あの頃のように踊ることはなかった。その事実に呆然とした。
 あの頃はずっと踊り続けられると思っていたのに…。
 それだけ年を取ったということなのだろう。後1か月足らずで35歳である。
 佐野元春の『ガラスのジェネレーション』じゃないけど、つまらない大人になってしまいそうだ。

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