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じつは不気味ではなかったCm

 最近♪スコーンスコーン湖池屋スコーン♪のCmが、新たなバージョンで流れ始めている。
 久しぶりにあのcmを見て懐かしいと思ったのはたぶん私だけではないはず。私も湖池屋スコーンのCmは今でもよく覚えている。というのも私に取ってあのCmはとても不気味なCmだったからだ。
 えっ、なぜあのCmが不気味なの?と思われた方も居るかもしれない。
 未熟児網膜症による生まれつき全盲の私には、当然テレビの画面も見れない。そんな私に取って、あのcmは男の人が一人リズミカルに手を叩きながら何やらよく分からない言葉をぶつぶつと歌っている(早口すぎて湖池屋スコーンという商品名が聞き取れなかった)、そんなCmでしかなかった。あの男の人は一人手を叩きながら何をしているんだろうと、何のCmなのかも分からない分、そのCmが流れる度にいつも不気味に思っていたのだ。
 ちなみに余談なのだが、当時のクラスメートの男子は、「スコーンスコーン湖池屋スコーン」が「ボインボインペチャパイ」と聞こえると言っていた。ほんまかいな。
 話を本題に戻すと、それが湖池屋スコーンのCmであることを知ったのはずいぶん後になってからだった。

 先日暇潰に当時のCmをユーチューブで検索してみた。
 全く怖くなかった。不気味だとも思わなかった。♪スコーンスコーン湖池屋スコーン♪の商品名もちゃんと聞き取れた。
 さらに当時は気が付かなかったが、途中手拍子が途切れた後、複数人の人がドンドンと床を踏みしめるような靴音が聞こえてくる。あのCmに出ていたのは男の人一人ではなかったようだ。そしてどうやらこのCmではダンスのレッスンをしているっぽいようなことも、音から推測して分かった。
 なんだ、ぜんぜん不気味ではなかった。今見るとむしろコミカルで楽しいCmではないか。なぜあの時は不気味に思っていたのだろうか。そんな子供時代の自分が改めて不思議でならない。

 このようなことは湖池屋スコーンに限った話ではない。子供の頃の私には、音や声だけだと怖いと思えてくるCmがたくさんあった。
 たとえば生理用ナプキンのウィスパーや、便秘薬のコーラック(ウィスパーやコーラックという言葉の響きが怖かった)、また佃オリジナルのスライムなど(スライムが延びる時の効果音やナレーションの男性の声が怖かった)、上げたら切が無いほどたくさんある。
 しかしそのようなCmを、大人になってから改めてユーチューブで見てみると、これが全く怖いと感じないのだ。不思議なものである。

 ところで筆者はまだ湖池屋スコーンを1度も食べたことがない。果たしてそれは美味しいのだろうか。こんど探して食べてみたいと思う。

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