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自作ボードゲームの対象年齢の考え方

はじめに

この記事を作成するに至ったきっかけは「海外のECサイトからボードゲームのコンポーネントを調達できないか」という相談を受けたところから始まっています。ボードゲームの対象年齢を設定する際にも有用だと考えたことと、備忘録を兼ねて記事としました。なお、この記事はインターネットからの情報収集と税関、検閲所などに問い合わせて伺った意見等を踏まえたうえで、個人的な見解を記したものです。

この記事を元に何らかのトラブルに見舞われても当方では責任を負いませんので、あしからずご了承ください。

また、以前自作していたボードゲームの資料を発見したため、あわせてこの記事にまとめました。自作のボードゲーム制作の参考になれば幸いです。

安全性(必須基準)

食品衛生法「乳幼児向けの玩具」

まず、対象年齢を設定するにあたって、「6歳未満」か「6歳以上」かで対応が大きく異なります。なぜなら、対象年齢が「6歳未満」であるならば、それは食品衛生法の「乳幼児向けの玩具」とされ、乳幼児がコンポーネントを口に含んだとしても問題ないことの責務を負うことになるからです。

特に注意しなければならないのは、何らかの表記が義務付けられていない点です。「他のボードゲームが対象年齢を表記していないから問題ない」だとか、「乳幼児にも遊んでもらいたいから表記しない」だとか考えている方も散見されますが、ただ単に「乳幼児向けの玩具」ではないことを客観的に証明する要素を自ら放棄しているだけです。

もちろん、そのボードゲームの外観やルール、説明書なども踏まえて客観的・総合的に勘案されるので、明らかに「乳幼児向けの玩具」で無いことが分かるのであれば、対象年齢を表記していないからといって問題となることはありません。

また、日本のAmazonで購入したコンポーネントが海外から輸入されているものであったり、Aliexpressなどの海外ECサイトから取り寄せていて、「乳幼児向けの玩具」と客観的に証明できないボードゲームを販売するのであれば、検査が必要になる可能性は高くなります(※1)。ここでいう「乳幼児向けの玩具」の販売とは、「複数の第三者に配ること(※2)」を指していて、「有償」であるかや「不特定多数」であるかは、関係ありません。

🔗乳幼児向けの玩具、判断基準とは?
  
より細かな情報や参考文献などは、以下の記事にまとめました。

※1
高くなると表記しているのは、取り扱い店舗や陳列形態、販売場所なども踏まえて判断されるためですが、自作ボードゲーム等に詳しくない方が調査したとしても問題ないと判断する根拠が充足される必要があります。

※2
複数の第三者と表記していますが、「多数の知り合いに無料で配布する」ことも販売と見做されるそうです。調査した限りにおいては、3個、3組、30万円、10Kgのいずれにも該当しなければ、概ね個人輸入(個人で使用することを前提)として認められる可能性は高そうです。

計算能力(任意基準)

実家に帰った際に、ボードゲームを自作したときの資料を確認してみたら、小学校学習指導要領を元に対象年齢を設定していたようなので、執筆時点での最新情報に差し替えて記載します。

学習指導要領(抜粋)

  • 小学1年生(6歳)
    0~9までの足し算や引き算

  • 小学2年生(7歳)
    0~99までの足し算や引き算、一桁の掛け算

  • 小学3年生(8歳)
    二桁までの掛け算、簡単な割り算

🔗【算数編】小学校学習指導要領(平成29年告示)解説
https://www.mext.go.jp/content/20211102-mxt_kyoiku02-100002607_04.pdf

対象年齢(自主設定)

  • 対象年齢6歳
    数を数える必要があるもの

  • 対象年齢7歳
    簡単な足し算や引き算が必要なもの

  • 対象年齢8歳
    二桁の足し算や引き算、一桁の掛け算が必要なもの

  • 対象年齢9歳
    二桁までの掛け算や、簡単な割り算が必要なもの

※補足
上記の対象年齢は、制作した当時にまとめた資料を元にしたものであって、「乳幼児向けの玩具」ではないことを示すものではありません。

道徳倫理(任意基準)

引き続き資料を確認すると、CEROレーティングの基準を参考にしていました。対象となっている表現が含まれているか、どんな内容が含まれているかを考慮していたようです。作成していた当時の情報を下記に示します。

CEROレーティング基準(抜粋)

  • 性的表現(キス、抱擁、恋愛、性行為)

  • 暴力表現(虐待、暴力、身体欠損、死体描写、殺傷、恐怖)

  • 反社会的行為表現(犯罪描写、虐待、非合法な飲酒・喫煙・ギャンブル)

  • 言語・思想関連表現(差別的な描写、宗教に係る描写)

🔗レーティング制度 特定非営利活動法人コンピュータエンターテインメントレーティング機構(CERO)

対象年齢の設定(自主設定)

  • 対象年齢12歳以上
    該当する表現がイラストや文章に含むもの
    対戦相手が必要なもの(個人相手を攻撃するもの)

  • 対象年齢15歳以上
    該当する表現がイラストや文章が複数含むもの

  • 対象年齢18歳以上
    法令違反となる表現(反社会的行為)を含むもの

ボードゲームを自作していた頃の当時は、CEROのレーティングが全年齢を含めると4段階だったため、対象年齢が3つになっています(たぶん)

まとめ

自作のボードゲームを作成するにあたっては、対象年齢を設定する際には、必ず「安全性」の観点から妥当性を確認してください。「乳幼児向けの玩具」と判断され、コンポーネントに問題があった場合には、食品衛生法違反となり、3年以下の懲役、または300万円以下の罰金が課せられます。

計算能力や道徳倫理の観点からは、制作者の自由意思に決めることが可能で、何歳に設定しても特に問題となりません。なお、これらの観点からも「乳幼児向けの玩具」ではないことを表す客観的な証明となりそうです。

調査するまでは自作ボードゲームですし、そこまで問題にならないだろうと私自身も考えていましたが、正直厳しいと言わざるを得ないというのが個人的な見解です。

補足や誤りなどがありましたら、コメントで教えてください!

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