OEMとは?ファッションとアパレルに大きなつながりがある基本知識を学ぶ。OEMのメリット、デメリットも解説
OEM(オーイーエム)とは何でしょうか? ハンドメイド作家とOEMの関係を考えていきたいと思います。ハンドメイド作家がOEMに挑戦するための基礎知識と、メリット・デメリットを紹介していきます。これから副業(復業)でハンドメイド作家になる方、ハンドメイドで起業を考えられる方もぜひこれからの運営に役立ててほしいと思います。
OEMとは?
OEM(オーイーエム、英: original equipment manufacturer)は、他社ブランドの製品を製造すること、またはその企業である。日本語では「相手先(委託者)ブランド名製造」、「納入先(委託者)商標による受託製造」などと訳される。 (ウィキペディア(Wikipedia)より引用)
化粧品や家電、食品、自動車業界などで普及している方法ですが、特にアパレル業界の方には非常に馴染みのある言葉です。
イメージしやすいOEMの代表例をあげると、例えば、私ごとで恐縮ですが、無印良品の商品が大好きです。ある日ふと自分の服を見るとタグには「カンボジア製」と明記されていました。
では、この服を生産しているカンボジアの会社がカンボジアで「無印良品」の看板を掲げて生産している会社があるかというと・・・多分ないです。無印良品がカンボジアで良質な服を生産できる工場と受託契約しているであろうと思われます。これがOEM(受託製造)です。
OEMの種類
OEM生産は大きく分けて2つの形態があります。
1)依頼主がメーカーに対して、自社ブランド製品の製造を委託する
アパレルで言えば、アパレル企業が依頼主(ブランド側)として製品の仕様を決め、完成した製品の管理権と所有権を依頼主が持ちます。そして、依頼主はOEM受託企業(メーカー)と契約を交わし、パターンや生地などを受託企業へ提供します。必要ならば、依頼主が技術指導まで行うこともします。
商品を完成させるまでの「分業」と捉えらえればわかりやすいですね。ある部分を他企業に回すということです。
2)完成品、ほぼ完成した商品を相手先のブランド名で製造する
生産者側(OEM受託側)の開発品を相手先のブランド名で供給する形式です。
つまり、OEM受託側が、「こんな素敵な洋服を企画したのですが、あなたのブランド名で販売しませんか?」と提案してくれるということです。
ここからもお分かりの通り、OEM受託側がただ下請製造を受け持つというだけの仕組みではないことがわかります。
OEM委託することのメリット
OEMの委託には大きく分けて3つのメリットがあります。
これもアパレルで考えてみましょう。
1)小資本でも、自社オリジナルブランドの商品を作成することができる
2)在庫リスクを低減できる
3)事業での分散を可能にし、効率良い経営ができる
1)小資本でも、自社オリジナルブランドの商品を作成することができる
製法工場や設備を自社で構えることは容易ではなく、個人スタートの作家さんにとって大変なことです。しかし自社で工場を持たずにOEM生産を行えば、商品製造に必要な設備にかけるコストが必要なくなります。縫製だけをアウトソースすると考えていただければ、イメージしやすいのではないでしょうか。
2)在庫リスクを低減できる
昨今、OEM受託企業の多くは、小ロット生産の対応が可能になってきています。ということは、大きな保管場所を持たずに、多品種小量販売を行うハンドメイドECサイトでも販売しやすくなっています。大量の在庫を抱え捌ききれないという心配を低減することができます。
3)事業での分散を可能にし、効率良い経営ができる
自社生産を最初から最後まですると、そこに関わる設備投資や人員の確保が負担となってきます。しかし、OEM委託をすることにより、自分でしていた縫製していた時間を企画、デザイン、そして販売の分野に回すことができます。ハンドメイド業界でもスピードが求められるようになってきています。企画・マーケティングや、顧客対応に専念することで、いちハンドメイド作家から起業、自社ブランドへの成長も見込めるようになります。
OEM委託することのデメリット
先ほど考えたメリットの多いOEMですが、デメリットになり得る点もあるので確認しておきましょう。
これもアパレルで考えてみましょう。
1)自社での生産(縫製)技術が育たない
2)自社生産による収益が得られない
3)受託先が将来、競合企業になる場合がある
商品生産をアウトソース(別注)するため、自分の製法技術の向上ができない(①)そして、どうしても生産を他社でするわけですからそこでのコストカットが見込めない(②)また高度な裁縫技術で作られる商品であれば、仮に受託先を変える状況が訪れた場合、同レベルの商品を生産することが難しく、新しい受託企業探しに時間がかかる。そして、教えた技術やパターンがそのまま持っていかれる可能性があるというリスクがあります(③)
先に述べたように、OEM受託側がただの下請会社ではないということですから、先方と条件が合わない時、先方が自分たちの持っている情報や技術を吸収し始めた時には上記のデメリットの3項目目は現実味を帯びることでしょう。
ですから上手に、自社にとってもOEM受託側にとってもwin-winな関係を培っていくことが必要ですし、互いにとってかけがえのないパートナー関係を保つことが成功の秘訣です。よって、委託者が上位であるという考えは捨ててください。
まとめ ハンドメイド作家とOEMの関係。そして始めるためには。
昨今、ハンドメイド業界は天井に達したと言われています。ハンドメイドECサイトで生き残るためには、他の作家さんの商品との差別化が必要になってきます。
そのための手法の1つがOEMです。メリットとデメリットを紹介しましたが、メリットの内容が大きいと言えます。
どのような作家さんがOEMを考えるに適しているでしょうか?
ここからは個人的な意見になり、ざっくりと述べると既にハンドメイドECサイトでの売り上げが月に10万円を超えている方は考えられたら良いでしょう。
そして、月に20万円を超えている方は、もう既に自分一人では対応できなくなってきているはずです。必須です。そしてこの辺りが、ハンドメイド副業からハンドメイド本業への分岐点になるはずです。すぐにOEM受託(先)を探しましょう。
ハンドメイドクリエーターは全体をできて一人前という考えがどこかにあるとは思いますが、そこからの「分業」を図ることを始めましょう。人件費、設備費、生産に関わるあらゆるコストをOEMで削減することで、本業である企画、デザイン、販売などに専念する時間を生み出せます。
またOEMの委託を始めるのなら、一緒に製品を作り上げる大事なパートナーとなる受託工場(受託者)を探していくことになります。それぞれのOEM企業(先)の得意分野と自社の製品分野があっている会社で探すわけで、友を探すようなものです。
自分の苦手なところをカバーする友ですね。成長させてくれる友ですね。
実はそんなに難しいことではありません。例えば、50代、60代の主婦の方たちはオールマイティーに服飾をできる方もかなりいらっしゃいます。(少なくとも私の周りには何名かいました 笑)
自分の親族の中で、スピーディーに裁縫をしてくれる人がいるかもしれませんよ。その人に依頼する。これも立派なOEMです 笑
ぜひ、価格だけでなく、的確なアドバイスやサポートをしてくれる良いパートナーと巡り会ってください。この枠を広げていってください。OEMによって、あなたの商品や作品のブランディング化はますます進んでいきます。自社ブランドを確立し、成長し成功するハンドメイド作家の方たちが増えていくことを願っています。
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