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はじめに

 私の夫は「主夫」である。

 先日、バイト募集記事をみたときに「主婦・主夫歓迎」という記述を発見して、少しずつ世の中に「主夫」という言葉も出てくるようになっているのかな、と思ったところだが、まだまだ男女のカップルがいれば、主に男性が家計を支えて女性が家事をするのが一般的と思われている。男女の賃金格差を思えば、男性が家計を支えるというモデルが存在するのはある程度は必然だと思うが、給料の多寡は必ずしも労働時間・拘束時間に比例するものではないから、給料が少ないからって女性が家事をするのが当たり前というのもおかしい。本来、2人の大人が共同生活を送るのだから、家事は2人で分担した方がいいように思うし、賃労働と家事労働を上下関係で見てしまうのは対等なパートナーシップを結ぶことを阻害する。低賃金長時間労働の非正規雇用の女性が家事もほとんどこなして、子供があれば育児もほとんど女性の仕事のようになってしまう。こんな歪な結婚生活でも、未婚子無しの「負け犬」よりはマシ…ってここは本当に「先進国」なのか?

 一方で、主夫に対する偏見もなかなか酷い。参考までにwezzyの記事を一つ貼っておくが、育児に専念している俳優の水嶋ヒロをヒモ呼ばわりする論調はあとを断たないようだ。ここには「男は賃労働すべき」という価値観をバックにした「あいつはずるい」という感情がよく現われているように思う。

http://wezz-y.com/archives/40600

女性が賃労働せずに家事をしていたら普通、男性がそれをしていたら「ヒモ」。どちらも賃労働している場合に、女性が家事をしていても普通で男性がしたら「偉い!」。賃労働は男の仕事、家事労働は女の仕事という性別役割分担が機能したのは戦後のごくごく短い期間だけなのに。

 そんなわけで、ジェンダーギャップ114位の日本で、女性が稼いで男性が家事をするというロールモデルはまだ少ないし、当の主夫男性による家事育児ブログなどはそこそこあるように思うが、主夫と暮らす妻の話って意外と少ないのでは?などという思いつきから、私と夫(アルさん)の日々を綴ってみようと考えた。需要があるかわからないし、ロールモデルになるとも思えないのだけれど、「夫婦とはこうあるべき」という型に縛られないで肩の力を抜いていこうよ。

 また、日本社会では男女で考えれば、女性である私はマイノリティだが、夫とふたりの関係性に絞ってみると、賃労働していて収入がある私の方が強者たり得る。おいおい話していきたいが、夫は持病があって働けないため、健常者という意味でも私の方が強者(マジョリティ)の立場にある。ひとはマジョリティ側にいるときはマイノリティの存在をともすると忘れがちなものだし、意図せずに抑圧的な態度をとってしまうことがある。そのことについても、少しずつ触れていきたい。


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