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昆虫細胞はなぜ室温で接着するのだろう?Matsuzaki,..., Yoshikawa, J. Phys. Chem. Lett. 2022.

昆虫細胞はなぜ室温で接着するのだろう?
―生きた細胞の接着界面を可視化する新システムで匂いセンサー応用に期待―

私たち哺乳類の細胞は体温よりもはるかに低い室温環境下(20℃)では生きていくことができません。一方で、昆虫細胞は過酷な環境下でも生育できる強靭さを有しながら、遠くにいるメスの匂いを知覚する鋭敏なセンシング性能を有しています。照月助教は昆虫細胞の巧みな性能を生かして、災害時のような過酷な環境下でも、ヒトの匂いを鋭敏に感知する究極のセンサーを開発するため研究を進めています。

しかし、センサーの核となる昆虫細胞は生きているため、どのようにしてセンサー表面に接着し、その後のセンサー機能を最大化するのか?という問いは未解明でした。

そこで本研究では、松﨑助教が開発を進める顕微鏡法を用いると、センサー表面との反発力の根源となる細胞表面の体毛(糖の鎖)が非常に小さく、かつ静電的な反発力が少ないことを世界に先駆けて明らかにしました(図左)。

以上の成果は、松﨑賢寿助教(大阪大学大学院工学研究科附属フューチャーイノベーションセンター)、照月大悟助教(東北大学大学院工学研究科ファインメカニクス専攻)、そして特別研究学生の佐藤奨真&修士課程1年の吉村侑大さん(大阪大学大学院工学研究科物理学系専攻応用物理学コース)らのチームMUSHIの若手理工連携によって達成されています。

これまでに、昆虫細胞の匂い受容体として、実に100種類以上が同定されており、災害でもよう救助者を探索するドローンセンサーの中心に使われる未来もそう遠いものではありません。以上の技術開発が高く評価され、2022年10月6日(木)に米国科学誌「Journal of Physical Chemistry Letters(American Chemical Society)」(オンライン)に成果発表されました。雑誌表紙(supplementary)にも選出されています(図右)。

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