もし中学英語の教科書に芥川龍之介の「羅生門」が掲載されたら

ある日の暮方のことである。一人の下人が、羅生門の下で雨やみを待っていた。


門の上へと上がると、そこには老婆がいた。


「こんにちは」下人は言った。

「こんにちは」老婆は言った。

「あなたは猿ですか」と下人はたずねた。

「いいえ、私は猿ではありません」

「あなたは死体ですか」

「いいえ、私は死体ではありません」

「あなたは、老婆ですか」

「はい、私は老婆です」

「オー、なるほど」

「あなたの名前はトムですか」と今度は老婆がたずねた。

「いいえ、私の名前はトムではありません」

「あなたの名前はジェームズですか」

「いいえ、私の名前はジェームズではありません。私の名前は下人です。」

「オー、なるほど」

「あなたはしばしばピアノをひきますか」と下人はたずねた。

「いいえ、私はピアノをひきません」

「あなたはしばしばテニスをしますか」

「いいえ、私はテニスをしません」

「あなたは宿題をやっているのですか」と下人はたずねた。

「いいえ、私は宿題をやっていません。私は死体の髪の毛を抜いています。」

「オー、なるほど」

「私はしばしば羅生門で死体の髪の毛を抜きます。なぜなら、ここにはいくつかの死体があります。」

「あなたは週に何回死体の髪の毛を抜きますか」

「私は週に2回死体の髪の毛を抜きます」

「あなたはそれを鬘にしますか」

「はい、私はそれを鬘にします」

「羅生門は最も死体が転がっている場所のひとつです」

「あなたの口にはいくつかの死体がついています」

「はい、都が荒れて以来、私は死んだ人の亡骸を食べていかなければならなくなりました」

「それでは、私が引剥ぎをしても、あなたは恨まないでしょう」

「はい、私は恨みません」

「私は今引剥ぎをしています」

「私は今引剥ぎをされています」

下人は老婆の服を剝いだ。

「あなたは服を着ていますか」

「いいえ、私は服を着ていません。なぜならあなたに引剥ぎをされたからです」

「私はこれからしばしば引剥ぎをするでしょう」

「さようなら」

「さようなら」


下人のゆくえは、誰も知らない。

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