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子どものクールダウンには可能な限り付き合うようにしている|石になる息子

少し前の話になります。

昨年、日本に一時帰国した際に、鉄道好きの息子を連れて行った鉄道博物館での一幕です。

人気のアトラクションであるミニ運転列車を楽しんだ後、「もう一度乗りたい」と4歳次男はせがみましたが、事前予約制の乗り物ということもあり、叶えてあげられません。

ゴネにゴネた後に彼がとった行動は、その場で地面に伏せの体勢をとり、この先の僕たちの行程を全てボイコットしようとする構えをみせてきました。その意志の強さを主張するかのように、石と化した息子。そこをいっこうに動こうとしません。

これは、4歳次男が近ごろ得意とするボイコットのスタイルで、一度こうなると「話し合い」には応じてくれず、ちょっとやそっとでは動かないのです。「また始まった」と、僕は一緒にいた祖母と長男を先に行かせることにしました。

さて、ここで無理矢理にでも彼を動かそうとしたところで事態が拗れるだけなので、彼の真後ろでそれをじっと見守ることにしました。父が完全なる静観スタイルをキメ込んだことで、事態はガマン比べのこう着状態へと突入。


作:Hiroki Fukushima

おそらく、このあたりから冷静になり、既に我に返っていると思われる息子。居直るキッカケを探し始めていたでしょう。時おり、顔を傾けては横目でコチラの様子を伺いますが、未だ静観をキメる父を確認してゆっくりとまた石に戻る息子。

そんな滑稽な親子の様子を、道ゆくご家族たちが生暖かい目で見守りつつ、通り過ぎていきます。

この状態でかれこれ15分程たったでしょうか。彼はじっくりと時間をかけて状態を起こし立ちヒザになると、その立ちヒザの状態でゆっくりと歩を進め始めました。

さすがの不可解な行動に痺れを切らした僕は、「さあ、もう行こうか」と彼の手を取ると、2人はあたかも何事もなかったかのように歩き出し、先を行く祖母と長男の姿を探したのでした。


僕のPODCAST「ザッツ・シンガポールノーマル」でも話しています。
https://spotifyanchor-web.app.link/e/fo68QAyhpzb


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