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国際女性デーで、専業主夫が「女性の社会進出」についてシンガポールで考えたこと。

3月8日(火)は国際女性デーです。僕にとって「女性の社会進出」には特別な思いがあるので、少し書き残しておきたいと思いました。

僕は昨年、妻仕事の海外赴任をきっかけに、会社員を辞め2才と3才の子どもと一緒にシンガポールに引っ越して来ました。現在は働いていないので、いわゆる駐在夫ですね。39才にして全く新しい門出でした。

そんなシンガポールで昼間っから英語学校に通っていると、クラスメートには結構な割合で男性がいます。話を聞くと、みなさん奥さんの海外赴任に同行してきた人たちで、自分のビジネスがある人もいれば、会社員として自由な働き方を見つけ、母国の所属企業とリモートで仕事を続ける人も、一時的に休職したという人もいますが、印象としてはみなさんエネルギーがあって「デキる人」という感じ。「周りには驚かれているけど、この貴重な経験を生かしてさらに新たな人生に挑戦していこう」言う人たちばかりです。

はるか昔に遡ると、男女の身体的な力の差は、生活の質そのそもに直結していました。生きるためには食べものが必要なので、外に出て狩や漁をして食料をとってくるには危険も伴うし体力も必要。それには力がある男性側がその役割を担い、獲物の質・量が生活を豊かにしてくれました。その一方で女性は家事炊事や子育てを担当していました。

そして時代は大きく変わり、現在は情報社会。情報を処理する能力に身体的な力の差は必要ありません。むしろ同時に複数の情報を扱う「マルチタスク」は女性の方が得意だという話もあります。コミュニケーション、マネジメント、創造性…いろいろな部分で個人的な得意不得意のポイントの差はあってもそれは男性にもあることで、現代において性別は関係ないと思っています。

妻が「海外で働くこと」に対して、人一倍学生時代から情熱を持って動いていて、妻の兼ねてからの願いでもあることは知っていました。逆に僕は長い期間に渡って目標を見続け、それに向けて周りの誰よりも努力を重ねてきたことがあるか?と思ったのです。そして妻はその目標の一つをもう少しで叶えようとしていました。それを叶える上で僕が会社員を辞めて、それを応援することに自然と抵抗はありませんでした。

「仕事を辞めて妻にくっついて海外へいく」事実を友人や同僚に告げると、驚かれるケースは多かったです。特に親戚などの年配の方からは「お前の決めたことなら何も言わないけど…」要するに心配だといったニュアンスの言葉もいただきました。それだけ珍しいことなのでしょう。

僕はこの情報時代において、女性だからと言うことで家庭などを理由に兼ねてから描いていた夢を諦めなければ行けない時代は、もう終わっていくと思っています。女性でも男性でも、どちらかが人生においてのチャンスの時にどちらかが側に寄り添っていくステージがあってもよいはずだと思っています。

「人生100年」時代です。先の長い人生の中で最も長く側にある可能成があるのは、仕事ではなく家族でしょう。その家族であり人生のパートナーが、兼ねてから実現したかったことを実現させてあげられることは何より幸せだと思うし、社会的な自己実現は男性側だけに認められたことではなく、夫婦それぞれの互いの自己実現を平等にできることがこれからの時代は当たり前になっていくと思っています。それがその先の夫婦の絆を強めると信じているし、今回は僕としてもそれをチャンスに新たな人生のチャレンジができる。新たな経験や価値観を手に入れることができ、その先の長い人生をより楽しく豊かに人生にできると信じています。

僕もずっと専業主夫をやっていくわけではなく、生活が落ち着いて行けば少しずつビジネスを初めていく予定で、この先10年くらい夢中になって励める領域をここシンガポールで探す日々です。

女性はどうしても出産もあるし身体的な条件が、男性とは違います。出産後でも、育児の状況によっては子どもが離れ辛くて仕事復帰が思うようにできなかったり、育児離れがし辛いことも多いことは事実だと思います。そんな状況の中で会社員である女性が「時短」を使って少しずつ復帰したとしても、職場環境において理解が得られにくいという話もよく聞きます。

結局のところ、子育ては短期的なものではなく復帰後も長期的にかなりのウェイトでのしかかってくるため、復帰したとしても仕事の取り組み方は変えざるを得ません。ですが少なくとも僕は、女性が女性であるという理由で男性よりも家庭を優先しないと行けないとか、チャンスを掴みにくいとか、夢を諦めるような社会ではもったいないと感じます。

世代、業界によって、社会的な理解度の低さはまだ強く残っていますし、この問題はまだしばらく残る気はします。そんな中で、僕たち男性が知らないところで苦労していることもこれからもあると思います。ですが、少なくとも一番側に居る夫は、隣にいる妻の実現したいことを最も理解し、それをサポートできる存在でありがたいと思います。


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