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死生観

母がクリスチャンだった事もあり、小さい頃、日曜日になると僕は教会学校に連れられて行っていました。

そして、そのせいか小さい頃から、朧げに「生」や「死」を考えるようになり、無邪気に友達が遊んでいる中、「生きること」や「死ぬこと」について毎日考えるような、そんな子供でした。

キリスト教の考えでは、「原罪」というものがあり、生まれながらにして人は誰しもが「罪」を背負っているということ。

もちろん、そこに「救い」は用意されているものの、この「世界」に生まれてしまった事に対して、僕は「希望」以上に「恐怖」を感じていました。


生まれる場所を能動的に選ぶことが出来ない「この世界」

いつどんな風に自分がこの世を去るかどうかもわからない「この世界」


-生まれてしまったという感覚-


自分を産んでくれた母には感謝していますし、生まれたを悔やんだ事はありません。

しかし、人間の持っている「業」や、いつか必ず「別れ」がやってくることに対して、答えを求め、彷徨い続けてきて、今の自分があります。

とても変な言い方になりますが、僕にとって人に対する「愛情」の根源は、「生まれてしまった」という、人間の宿命の根底にある「連帯感」からきているのです。


HANCEの活動を始めて1年が経過しました。

インタビューなど、色々なところで発言していますが、40歳を過ぎてデビューをした、僕にとって「HANCE」の活動は「終活」そのものです。

HANCEの音楽は僕というフィルターを通して、作品を作り上げているため、極めて、主観的な創作活動です。

しかし、僕は自分のために音楽を作る事には全く興味がありません。誰かのためにしか機能しなくて良いとすら思っている節があります。

僕と同じように、「この世の中に、この時代に生まれてしまったあなた」に対して、「音の世界で繋がり」を感じてもらうことを目的としています。


こんな世界に生まれてしまったこと。

そんなあなたが「孤独」を感じないように。


HANCEの活動で、一時でも「安らぎを覚える」感覚になる人が、一人でもいれば、一人でも増えれば。

僕は自分が生まれ、生きていることを「肯定」出来る「感覚」を覚えることが出来ます。

自分の音楽で「あなた」を救う事が出来なくても、一時的な「逃避」にはなるかもしれない。

僕は作品には答えを求めておらず、人の持つやるせないほどの「業」や「性質」を誰かの変わりに表に引っ張り出したい。

HANCEの曲は、「別れ」をテーマとした曲が多いのですが、決して意図しているわけではなく、自然とそうなってしまうことが多いのはこういった理由です。


人との「別れ」をテーマとした「left」という作品を29日にリリースします。

この曲が、あなたの一時に「寄り添うこと」を願っています。 HANCE


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