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もう職人を辞めたいと思った


次なるステップへ

先月の記事に挙げましたが、2023年秋のグループ展は、とても手応えを感じられる展示会でした。

自分の作りたいモノ、好きなモノが「独りよがり」になることなく、
他人に評価されて、さらにその作品が売れる。
なんと素晴らしいことでしょう!
特に、展示会に来てくれた同じ“作り手”の方々に批評していただいたのがとても励みになりました。
この感覚を大事にして、次なる作品を生み出していきたいです!

先の展示会では私の予想以上に売れてしまい、
作品の在庫がなくなってしまいました。

来年の展示会に向けて、さらなる良いものを、より効率的に、
たくさん作らなければ!

そんな強い思いを持って次なるステップへ進もうとしていました。

怒涛の注文(地獄)

問屋からの受注生産がメインとなっているウチの工房。
でも、受注のみならず、自作品の生産も適時行っていく。
いや、むしろ今後は受注生産の比重を減らして、自分の好きなモノをどんどん作っていきたい!
それでやっていけるならベストではないですか!

そんなことを考えていた矢先、
漆器工房はとても忙しくなってしまいました。

私がグループ展に在廊中、大量の注文がきていました。
しかも、納期に余裕があまりないという。

ここは父と二人でなんとかしなくてはならない。そんな仕事量。
土曜、日曜もひょっとすると頑張らなければならない、かも?

土日が潰されると自分の作品づくりに時間が割けなくなってしまいます。
正直、勘弁して欲しいな、という注文でしたが、
それまで(9月まで)受注がほとんどなかったので、
仕事を受けるのはやむなし、といったところではあります。

しかし、注文はそれだけにとどまりませんでした。
他の問屋さんからも次々と注文がきます。

注文がこないときは、本当にまったく来ないのですが、
仕事が来るときは何故か集中してきます。
不思議です。

気がつけば実に問屋6社からの注文を受けていました。
途中から、もうキャパオーバーだなと感じたので後からきた問屋は正直断りたかったのですが、父は引き受けてしまいました。(そういう性分なのです、泣)

自分のものづくりは…しょうがない、後回しです。
グループ展で得られた感触を失わないうちに在庫作品をたくさん作りたかった私は、そんな思いから焦りもでてきて、問屋に恨みすら覚えました。

とりあえず、納期の決まっている最初に受注したモノを優先して手を付けます。
後から受けた仕事はまずは後回し。
しかし、それぞれ問屋は自分の注文したことしか考えないので、こちらがいくら忙しいといっても、ウチの分の製作を早くしてくれ、と催促してきます。

これが、本当に鬱陶しい。

従業員が大勢いるのならば回せますが、こちらは二人。
一時的にアルバイトでも雇えればいいですが、そもそも専門知識(技術)を持ってる人材じゃないと務まりませんし、そんな人が余ってるとは思えない。
今はとても忙しいけれど、暇なときはとってもヒマ。
そんなことを考えると工房要員の増員もなかなか難しいところです。

作家として活動していけたなら…

納期に追われながらの「ものづくり」はとても辛い。
本来、いいものをつくるためにはじっくり時間をかけるべきです。
しかし、納期が決まっているともうちょっと綺麗に仕上げたいな、と思うことがあってもそこに時間はかけられない状態になり、多少納得はいかなくてもそのまま納品させてしまいます。
最終的に損をしているのは漆器を手に取るエンドユーザーです。

問屋もやたら急かしてくるけど、そういうのわかってるのだろうか?

問屋からの注文は受けずに、自分の作品だけを作っていたい。

問屋に使われるだけの職人をやめて、
自由に活動できる作家になりたい。


この忙しい最中、ずっとそんなことを悶々と考えていました。

一生に一度はやってみたい、個展

なんとか納期までに間に合い、一段落つくことができました。

とはいえ、これから後回しにしていた問屋の分を片付けなければなりません。
年内いっぱいは仕事が渋滞してます。
もう今年は仕事来ないでくれ!と思っています(笑)。

というか、もう仕事来なければ、スパッと作家に転身します。
(そんなに甘くないのを承知で)


作家になったらやってみたいことがあります。

それは、「個展」を開くこと!

そもそも個展を開くこと自体はそれほど難しくないのかも知れません。
適当なギャラリーさんに交渉するだけで実現できるのかも知れません。

ただ、
現状でそれをやったところで、
「お前、誰?」
「何?この作品」
と言われそうです。

まずは、著名な方々と一緒にグループ展に混ぜてもらって少しずつ名前を知ってもらい、
自己研鑽で作品の価値を高める。

これですよね?

いつかきっと結果がついてきて、
「うちで展示やりませんか?」
と声がかかるくらいになるかも?

ああ、だから、自分のものづくりを早く再開したいんだよぉ…。

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