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もはや懐かしさを感じたコメディ映画

 2020年3月20日公開。オリンピックの延期が決まる4日前に劇場公開された映画だ。4月に入り緊急事態宣言も発令され、コメディ映画どころではなかった2020年。

 放映当時、スクリーンでは観ていない。今になって、動画配信サイトでおすすめにあがってきたから、観た。幾多にも張り巡らされた伏線をお笑いで回収していく小気味良さ。自然と身を委ね、笑う事が出来る映画だった。


 ワイワイ騒いで、くだらない事を言って、ボケて、ツッコんで笑い転げて。そんな日常の中に入り込んでいたコメディというジャンル。
 本当に懐かしかった。全力で茶番を繰り広げる姿に活力を与えてもらった気がするくらい、エネルギッシュだった。

 デスメタルを歌う広瀬すず。きっと2020年の夏は、どこかのフェスでデスメタルを披露してたのではないかと考えてしまう。ライブハウスで歌っている姿が懐かしかった。ミサで観客が拳を突き上げている姿が懐かしかった。

 世の中、こういうノリだったよなと。そう思わせてくれる映画。

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 そんな映画の脚本を務めたのが澤本嘉光氏。大変満足でしたと、他の映画はどんなもんじゃろがいと。

あったあった。

「ジャッジ!」という映画。

 自らがCMプランナーでありながら、そのCM業界の国際的な賞レースの裏側を描いた映画。前述の作品ほどのテンポ感はないが、実にくだらなく、ハートフルに落としどころを作ってくれる内容に、これまた安心して観る事が出来たコメディ映画だ。そしてやけにリアルな描写が所々に見受けられ、この世界を知っているからこそだなと、感心するばかりであった。

 自身は電通に身をおきながら、映画内ではライバルをモチーフにしたであろう「白風堂」が賞を獲る流れも、両者ともに苦笑いと言った最高の落としどころだったと思っている。

 悪が自滅し、正義が目覚める。このやり口も実に大人だ。自制と理性に問いかけ、私利私欲は暴発する。わざわざ手を加えなくとも、良いものは残り、ダメなものは消えていく。
 そんな厳しい世界の掟でもあり、生き抜いてきたからこそ描けたプライドと自信のようなものが伺えた。

 こんなコテコテのコメディが懐かしい。今になってこの平和な感じがとても心に沁みる。悪ふざけすら許容されるか分からないこのご時世。

くだらないなぁ。

おもしろいじゃん。

バカやってんね。

 和気あいあいと、笑顔で溢れていた映画館が、とても恋しくなった。

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 また近いうちに、そんな映画を、映画館で、皆と見られる日が戻ってきて欲しいと願うばかりである。今はそんな想いを馳せながら、

1人パソコンで映画を観る夜が

笑い話のネタになってほしい。

そんな日が来てほしい。




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