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免許センター過疎地

運転免許の更新をした。

免許を取得したのは25歳の頃。
大学を卒業後、就職して子どもが2人いる状態で教習所に通ったから、免許の取得時期としては少数派だと思う。

多くの友人が大学時代に免許を取っていた。
わたしもそのつもりだったが、仕送りはなく大学院進学費用のために奨学金を貯金している状態で、教習所に通うお金が捻出できずに諦めた。
あとから聞いた話だと、姉の教習所の費用は親が出したらしい。どういうこっちゃ。

卒業後に就職した会社では、業務の一環で車の運転が必須だった。
設立したばかりの法人で、さまざまなことに柔軟に(悪く言えば適当に)対応してくれ、業務時間内の教習所通いを許可してもらえたことで、免許取得に踏み切ることができた。

そんなこんなで28歳を目前にし初めての更新を迎えている。

2週間ほど前に免許更新のハガキが届いていたのだが、内容を見て驚いた。
福島県には免許センターが2つしかないのだ。

1つは県庁所在地である福島市。もう1つは福島県のちょうど真ん中に位置する郡山市。
福島市は県北に位置し、イメージとしては宮城寄り。
そのため、郡山以南の住民は、会津も白河もいわきもみんな郡山免許センターが最寄りの免許センターとなる。
ここで忘れてはいけないのは、福島県は北海道、岩手県に次いで全国で3番目に大きい県だということである。

例えば、郡山市免許センターから会津の端の只見町までは88キロ、尾瀬の一部を担う檜枝岐村までは91キロある。
あくまでこれは中心地までの距離であるから、実際はその外れに住んでいる方は100キロほど離れているという場合もあるだろう。
車で向かうとそれぞれ2時間半以上かかる。

ちなみに東京駅から100キロの場所は茨城県大洗市や山梨県富士火口湖町などがあたるらしい。

近隣の千葉県や埼玉県は通り過ぎるようだ。
小旅行である。できれば一泊したい。日帰りはきつい。

しかも郡山免許センターは主要駅郡山駅からのアクセスが非常にわるい。
郡山駅から免許センター行きのバスは出ているが、早くて30分ほどはかかるとおもう。

免許更新であれば自分で運転していく場合がほとんどだろうが、免許取得の場合、親御さんなどに頼んで送ってもらうか、公共交通機関の利用になる。
只見町には只見線という秘境列車が走っているが、檜枝岐村についてはどのような公共交通機関が存在するのか見当もつかない。

試験に落ちて免許が取れない可能性もある。
車で2時間半、あるいは電車やバスを乗り継いで来て、免許が取れなかった場合どんな気持ちになるのだろうか…。

ちなみに福島の次に広い面積を誇る岩手県の免許センターの数は4ヶ所、北の大地北海道は8ヶ所だ。
大都市東京には3ヶ所。

さらに調べると、面積ランキング6位の秋田県と9位の山形県にはそれぞれ1ヵ所しか免許センターが存在しないようだ。

なぜ免許の取得や更新のために小旅行を強いられる県民がいるのか。
慣れない長距離を運転して事故をおこしてしまう可能性すらある。
どうしてなんだ免許センター、どうしてなんだ警視庁!

平日の朝9時に郡山免許センターの駐車場に停まる会津ナンバーや白河ナンバー、いわきナンバーの車をみていたらそんな雑念にとらわれた。
おかげで全国の免許センターの個数と都道府県の広さについてちょっぴり詳しくなってしまった。

免許の更新は無事にできました。視力検査の機械の覗き穴が高すぎて、優しいおじちゃんに踏み台を持ってきてもらったことがハイライト。

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