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正しい知識を得るということ

某製薬会社の添加物についてのニュースが連日報道されている。
スマホニュース、ラジオニュース、姉が購読している新聞にも大きく取り上げられている。
なんでもそれを摂取することで腎機能が著しく低下する恐れがあり、亡くなった方もいるというから恐ろしい。

この恐ろしさには覚えがある。
福島第一原発が爆発したとき、まき散らされた放射能による人体への影響は未知だった。
実際の健康被害は出てるかどうかはともかくとして、「安全なのか」「危険なのか」の判断ができず、福島を離れた方もたくさんいた。
私もその渦中にいて、「ここに残るか、離れるか」の判断を迫られた一人でもある。
幸いなことに強制的に故郷をあとにしなくてはいけない地域ではなかったのだが、当時は郡山もこれからどうなるかわからないという風潮だった。

その時わたしは思ったのだ。
正しい知識をつけたいと。
正しいことを正しいと判断できる、間違っていることを間違っていると判断できる知識が欲しいと。

それが、私が理科の教員を長く志していた理由でもある。

科学が急速に発展していく時代を生き抜くために、科学の正しい知識をつけることは、万が一の時に自分を守る強い盾になる。
正しい知識を持つことで、不必要に怖がることもなく、無抵抗のまま危険にさらされる危険性を低くすることができるのだと。

自分も正しい知識が欲しい。
そして、これからを生きる子どもたちにも、この時代を生き抜く力を身に着けてほしい。

そう願い、理学部に進学して教員免許を取得した。

まあ実際のところ私は教員になっていないわけなのだが、この考えはいまも私の理科教育に対するぶれない考えである。

今回のニュースになっている添加物も、それに使われる物質や有害物質が発生するメカニズムなどの知識を持っていれば、摂取を避けることができたかもしれない。
今回の場合には大手製薬会社の名前で売られているという後ろ盾があるため、それにより判断が鈍る可能性はあるが、危機意識を持つことは可能ではないだろうか。

科学の知識は人を守る。科学者に限った話ではなく、人類全般にそれが求められているのだと再確認した。

偉そうなことを言ったが、じゃあお前はそのサプリメントを避けられたのかと言われれば、まったくもって無理である。
もしも薬局でそれを見かけ、「なんかよさそう!」と感じたら購入してなんの迷いもなく摂取していただろう。
幸いなのは、今の私にはサプリメントにお金を使う余裕がないということだ。

結局わたしは頭でっかちで実践力がない。

だけど今回のようなことがあると、自分の身は自分で守らなくてはいけないと実感する。
後ろ盾に騙されず、自分の頭で、自分の知識を総動員して物事をとらえなくていけない。

日々それを続けるのは大変なことだ。
だけど、少しずつでもいいから実践していこうと思う。その姿を子どもたちに見せることで、彼らが自分を守る知識を身に着けることの大切さを感じ取ってくれれば、それだけでいい。

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