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「女殺油地獄」@三月花形歌舞伎 行ってきました!

【はなごと】としてざっくり感想をあげましたが、
語り尽くせないので、
まずはこちらのご紹介を。


あらすじ

あらすじを極限まで簡潔に説明すると、
「油まみれの地獄のような状況で女が殺される」
というお話です。

はい、題名そのままですね。

ちゃんと説明します。

登場人物

主人公は、河内屋という油屋の次男の与兵衛。
与兵衛は、
兄は優等生だが親の脛をかじりつつ遊び歩いている、
プライドは高いのに、意気地なし、甘えん坊。
実父を早くに亡くしていて
今の河内屋の主人になっている義父は元々番頭だった人であり、与兵衛としては、父とは認められない、
義父との関係もあり実母に厳しくされている
という複雑な家庭環境。

実は、実母も義父も与兵衛を愛していて、
表現が上手くいっていないだけなのですが、
肝心の与兵衛にはそれが物語の最後の最後まで伝わらない。
これが最後の悲劇の引き金の1つ。

この与兵衛を中村隼人くんが演じます。

次の主要な役は、
豊嶋屋の主人である豊嶋屋七左衛門の女房、
お吉。

題名の「女殺」の殺される女というのが、このお吉。

豊嶋屋は河内屋の近所にある油屋で、
お吉と与兵衛は昔から知る仲で年も近い。
お吉は、与兵衛にとって近所のお世話をしてくれるお姉さんのような人。

でも、お吉は、与兵衛に世話を焼いたせいで、
夫の豊嶋屋七左衛門から叱られたりしてしまうことも。

しかも、与兵衛に優しさを見せたせいで、
お吉は殺されてしまう。
悲しすぎる。

このお吉は、中村壱太郎さんが演じます。

その他の主な登場人物は、
ここまでのお話に出てきた人たちです。

河内屋の主人であり、与兵衛の義父の徳兵衛。
その女房で与兵衛の実母のおさわ。

豊嶋屋の主人であり、お吉の夫、七左衛門。

あらすじ

ちゃんと説明すると長くなるので、ざっくりですが、
ネタバレまで書きますので、ご注意を。

ある日与兵衛は悪友たちとともに、
外でケンカをしてしまい泥だらけになります。
その時に、武士に無礼を働いてしまうトラブルを犯してしまいます。
そしてこのトラブル、
与兵衛の叔父の山本森右衛門が関わっていたことにより、
河内屋の与兵衛の両親と兄にも伝わってしまいます。
それがもとで、
与兵衛は勘当され、
家から追い出されます。

家を追い出された与兵衛は街を彷徨い、
借金取りに借金を取り立てられる。
その末に、今で言う闇金から借りてしまいます。
闇金から借りた借金は、
期限までに返済しないと金額が跳ね上がってしまい、実家の家まで取られてしまう、
という窮地に与兵衛は追い込まれます。

与兵衛は、
最後の望みをかけて、
豊嶋屋にお金を借りに行きます。

その時、
七左衛門は不在で、
お吉とその子供たちが留守番をしています。
与兵衛より一足先に豊嶋屋に来ていた与兵衛の両親。
そこで両親は、与兵衛を心配して、お金と食べ物をお吉に預けていきます。
与兵衛は、
両親とお吉の会話を聞き、
自分は両親に愛されていたことを知り、
両親を愛おしく思う気もちが芽生えます。

両親が帰ったあと、
与兵衛はこっそりお吉を訪ねます。

そこで何とかお吉にお金を貸してほしいと頼みますが、
お吉は相手にしません。
与兵衛はお吉に、
「いっそ、不義(不倫関係)になって貸してくだされ」とまで言いますが、
お吉の返事はNO。

切羽詰まった与兵衛は、
お吉を殺してお金を奪うことを思いつき、
脇差しを取り出し、お吉に向かっていきます。

お吉は必死に抵抗し、
その過程で、
豊嶋屋にあった油の樽がひっくり返り、
床が油まみれに。

そこで床の油に脚を取られながら、
必死に逃げようとするお吉と血走った目でお吉を追い、刺殺する与兵衛。

最後は息絶えたお吉の懐から鍵を取り出し、
豊嶋屋の戸棚からお金を奪い、
与兵衛は逃げていく。。

という、お話です。

見どころ

見どころは、
まぁ、隼人くんの与兵衛のすべて。
これに尽きる。

もちろん、一番は、
最後のお吉を刺殺するところから最後まで。

お吉と話しているうちにだんだん目つきが変わっていく与兵衛。

最初はお吉を刺すことに抵抗を感じていたにもかかわらず、
どんどん刺すことが快感になっていき、
殺人鬼の顔になる与兵衛。

お吉がこときれた途端に、
一瞬、意気地なしの与兵衛が戻って来る。
でもすぐに元の目が血走った殺人鬼の顔に戻る。

その表情のまま、花道にはけていく与兵衛。

この花道の与兵衛を見ると、
視線だけで殺された気分になる。

このあたりのシーンだけでも十分お腹いっぱい。

でも、それだけではないのです!!!

前半の勘当される前の甘えん坊の与兵衛。
頬を膨らましてふてくされたり、
情けない声を出したり、、
本当に可愛らしいのです。

あんな子なら面倒見たくなる気持ちがよくわかる。

前半の与兵衛と後半の与兵衛、
同じ人とはとても思えない。

中村隼人の魅力が詰まっている。

観ない手はない!!
これは、
絶対に、
絶対に、
中村隼人の当たり役になる
と確信しています。

まだ間に合います!

三月花形歌舞伎は、
3/24(日)まで、
京都の南座で上演中です。
まだ、少しはチケットあります。

南座はコンパクトな劇場なので、
どこの席でも、しっかり観れます!

↓チケットのご案内等はこちら。

まだの方はぜひ!!!!

たたみます。

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