記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

【はなごと】やっぱり「狐花」は素晴らしい。

「また狐花の話か。。」
と思われてしまうかもしれませんが、、
今日は一階の前列で観てきたので、やはり報告させてください。

【ご注意】
もう明日(時間的には今日)が千穐楽ですし、
チケットは一幕見席含めてすべて完売なので、
ネタバレ満載ですが、
ごく一部のみを有料にするだけにします。

「千穐楽で初めて観る!」
という方はご注意を。

あと、原作との違いについても少し言及するので、
「原作のネタバレが嫌!」
という方もご注意を。

相変わらずざっくりな点は平にご容赦を。


原作と歌舞伎の相違点と違和感

私が物語として違いが大きいなと感じた相違点は、
1 近江屋の火事の場面の展開とその結果(登紀も死んでいる)
2 的場佐平次の死ぬ場面と殺される理由
3 雪乃を殺す人物が違う

上記のうち、2と3は繋がっています。
歌舞伎では、雪乃を殺すのは佐平次ですが、原作だと雪乃が殺される時点で、既に佐平次は殺されているので、流れ上、3は2に続くと必然です。

個人的には、
佐平次の殺され方と雪乃の殺され方が今ひとつチグハグで、歌舞伎も原作も違和感が残っています。

歌舞伎では、
「あのことを知った人間は殺す」という理由で、佐平次は雪乃を殺します。
ここで、「あのことを知っている」から萩之介を殺すのなら合点が行くのです。
しかし、長く側近として監物に仕えている佐平次が、「美冬の代わりにしたくて雪乃を大切に育てていること。雪乃に執着していること。」を理解していないとは思えない。
まして、仮に、雪乃が「あのこと」を知ったとて、座敷牢から出さないのなら、問題にはなりません。
むしろ、佐平次なら、監物の許可なく雪乃を殺したら、監物の意向に沿わない、つまり、自分が監物に殺されかねない、と考えるほうが合点がいきます。
まして、歌舞伎の佐平次には、原作にあるような態度の変化(このあと言及します)がなく、あくまでも忠義一筋。
忠義一筋、監物は絶対、という考えだからこそ、「不忠義者」と監物に言われて絶望しながら佐平次は死んでいくのです。
ますます、奇妙です。
※ただ、染五郎くんが演技でこの私の違和感を中和してくれているというのも事実なんですよね。
詳細は、最後の有料部分で(笑)

一方、原作では、
そもそも雪乃が殺される場面より前に、
中禅寺に「あのこと」を話すか否かで監物と佐平次の意見が割れ、佐平次は監物に殺されます。
佐平次が殺される直前の場面の佐平次の態度が、今までと急に変わり過ぎていて、奇妙です。
今までは、監物への忠義一筋でいた佐平次が、急に、態度を変え、言葉遣いが変わる。
確かに、近江屋と辰巳屋の1件で、「残るは自分と監物だけだ」と思って、切羽詰まっているのはわかりますが、そんなに急に変わるのだろうか。
ただ、仮に、この場面て態度の変わった佐平次ならば、「あのことを知った」というだけで、雪乃を殺すのは理解できます。
切羽詰まっていて、監物の意向に反発するくらいですから、「あのこと」を知っている人間は殺したいと考えるでしょう。

ここまでをまとめますと、
佐平次の態度と、
佐平次の殺され方·雪乃の殺され方
が原作も歌舞伎も今ひとつ噛み合っていないことが違和感の原因だと思っています。

個人的には、
原作のストーリーの方が、因果応報の流れに乗っているような本作には、良いのではないかと思っていました。
佐平次が既に死んでいることで、
監物自身が雪乃を殺すことになるので、
その方がまとまりは良かったのかと。
そう、染五郎くんの芝居というプラス要素がなければ。

ただ、歌舞伎として上演するのならば、
辰巳屋の件と似た印象のシーンになってしまうし、
そもそも歌舞伎だと、萩之介は影から急に出てくる設定で、原作のように天井裏から萩之介が顔を出す演出は観客に観えないため原作を再現できないので、やりようがなかったとも言えます。

また、歌舞伎の方のストーリーでは、「佐平次が監物の弟である」という話を出すシーンがないので、雪乃を殺すシーンで告白させるしかない、という事情もあるのかもしれませんが。。

以上からすると、歌舞伎として上演するにはあれがベストなのかなとは思っています。

すっかりおまけ状態ですが、
1の原作では、登紀が死んでしまうことについては、歌舞伎の方が良いかなと。

「萩之介は自分を殺そうとした登紀と実弥に復讐したいのではなく、彼女たちはあくまでも、あのことにかかわる4人への復讐の道具の一つとしか考えていない。」
というのが私の解釈でして、だとすれば、
あえて登紀を殺す必要はないし、
歌舞伎のように助けても良かったのではないかと思っています。

私のイメージの萩之介は、
「復讐の中で、必要のない人まで殺そうとはしない」と思っているので、登紀を見殺しにするのは不思議だなと。

中禅寺の行動について

中禅寺は、鳥居の前で萩之介を止めようと問答をしています。
このときに、
「自分もあのことを知っている。自分はそなたとは母を同じくする兄弟であり、信田家の生き残りである」
と告げていたら、結果は変わったのではないか。
と、今日も客席で考えていました。
やはり、これには、少なくとも萩之介と雪乃が殺されずに済む未来があったのではないかと。

で、結局、原作と歌舞伎どっちが好きか。

皆さん興味ないでしょうから、ここからは有料にします(笑)

ここから先は

585字

¥ 100

よろしければサポートをお願いします! いただいたサポートは、その後の記事のための観劇費用、資料代等に使わせていただきます!