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あきらめない15歳の最終兵器。

前編はこちら↓


森野の好きな人は、もちろん私ではない。

だけど、本人の口から好きな人の存在を聞かなければ、完全に失恋をしたことにはならない、と思っていた(変に前向き)

そんなある日、塾の男子が森野に「お前好きな女子いるんだろ」という話を振っていた。
その言葉に、私は思わず耳がぴくりと反応する。
森野の、好きな人……。

すると森野は「絶対に教えねー」とその男子に言っていた。ちなみに、森野に初めて話しかけた時に、会話を広げてくれた男子が話し相手だ。

私は努めて明るく「えー、なに誰?」と聞いてみると、森野は私に強い口調でこう言った。
「お前にだけは絶っっっ対に教えない!」
なぜ。
私が他人に森野の好きな人をベラベラ話すと思っているのか。
そうだ、その通りだ。

しかし、森野と話していた男子が私にこういった。
「ヒントはねー、うさぎのポーチ」
「そんなヒントじゃわからねーな。じゃあいいや」
森野はそう言って安心していた。

私は森野の好きな人がわかってしまった。そのうさぎのポーチ、すごく目立つ。親切でお姉さんタイプのきれいな女子だった。クラスはちがうけれど、男子から人気があったのは知っている。

その時、私の失恋が確定した。ショックはショックだけれど、覚悟はできていた。自分が女子として意識されていないことはよくわかっていたから。

そうして、やめておけばいいのに、私はあろうことか。
森野に告白したのだ。
手紙で。
いわゆるラブレターである。

森野は、それを受け取ってくれた。
しかし、森野にラブレターを渡してから、森野に避けられるようになった。
あからさまに避けるし、にらまれる。

これ、好き避けとか照れてるわけじゃない。
完全な拒否だ。
森野の態度に、私はくじけそうになった。
しかし、15歳の私は無敵だった。

避けられようが、睨まれようが、明るく話しかけてみたのだ。
何度も何度も無視をされた。

決定的だったのは、森野になぜを無視をするのか、私は何か悪いことをしたのかと二人になった時、塾の外で聞いた時。

森野は小声で何かを言っていたが、聞き取れなかった。

そして私の顔を一度も見なかった。

とりあえず、私はもうこれでこの恋を終わりにすることにしたのだ。ものすごく一方的な片思いだった。

ちなみに、それから森野がある女子と付き合い始めたと聞いた。例のうさぎのポーチの子かと思いきや……。別の女子だった。

おい! 森野、あんた自分の片思いはどうしたよ!

そう思ったけれど、森野の彼女はとてもかわいかった。片思いの子は美人で、彼女はかわいい系。

そうか、まあ、面食いならしょーがないな、と妙に納得したことを覚えている。

そもそも中学で彼氏とか彼女ができる時点で、やっぱり自分とは住む世界が違うなあと思ったのだ。

こうして私は、残りの中学生活をひたすら趣味にささげることにした。その時のこともまた、近いうちに書いていこう。

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