生まれて初めてのデートは、映画館。
前回からの続きになります。
ベルナンで知り合ったダイキくん(仮名)
彼と初めて会ったのは、私の最寄り駅の一つ前の駅。
駅のホームで待ち合わせをした。
先に時間と場所を決めて。
待ち合わせ場所にいたダイキくんは、背が高かった。
たぶん190センチぐらいあったのでは。
ちなみに私は身長160センチなので、当時は平均レベルである。
背が高いと、少し圧を感じて怖く見えてしまう。
しかし、ダイキくんは優しそうに微笑んでくれたのでホッとした。
とても良い人そうだ。
とりあえず、近くにゲーセンがあるので、そこへ行くことに。
私はとにかく明るく元気に話した。
「元気だね」とダイキくんから言われた。
そこは取り柄なので!
その日はプリクラを取って、ゲームちょっとして解散した。
ダイキくんに、「次は土曜日に映画に行こう」と誘われた。
あら、これは……。
人生初のデートでは!
映画デートまでの間、ダイキくんと電車通学をした。
いつも一緒に通学している友人二人には、もちろん正直に理由をいった。
この時から、わたしたちの間に、「彼氏ができたら通学はその人とすること」という暗黙のルールができたのだ。
しかしながら、ダイキくんとはまだ付き合っていない。
付き合うのかなあ、どうなんだろう?
よくわからないまま、わたしとダイキくんはあれこれと話した。
ぶっちゃけた話。
あまり会話は盛り上がらなかった。
ダイキくんは、あまり話すほうではなく。
そうなると、私が沈黙に焦ってしまい、あれこれと話す。
ダイキくんは、笑顔で聞いてくれているんだけど。
どこか彼は、心にここにあらず、という感じだった。
映画デート当日。
私はめいっぱいのオシャレをして出かけた。
映画はタイタニックを観た。
映画館を出てから、思い出し泣き(?)をしてボロボロ泣く私に。
ダイキくんは、オロオロしながら、自分のタオルを貸してくれた。
迷惑をかけてしまった……。
そのあと、喫茶店でお昼を食べ、本屋や雑貨屋をめぐった。
すっごい静かだったな。
わたしもずっとしゃべっているわけではないので、だいぶ沈黙が多かった。
そこで気づいたのだ。
たぶん、わたしとダイキくんは、あまり気が合わないのではないか。
ダイキくんは、とても良い人だし優しい人だけど。
私は基本的に自己中だしな……。
その日の別れ際、駅のホームで人がいなくなったのを見計らって。
ダイキくんがこう聞いてきた。
「おれたち、付き合ったらうまくいくと思う?」
その時、私の頭の中に浮かんだのは。
近澤先生の顔だった。
報われない恋。
あきらめなければいけない恋。
でも、まだ私は近澤先生のことばかり考えてしまう。
私は思い切っていった。
「担任の先生が好きなんだ。既婚者だから叶わない恋だけど」
すると、ダイキくんはこういった。
「おれもさ、クラスに好きな子がいて」
そういえば、フラれたといっていたっけ。
ダイキくんは寂しそうにこう続ける。
「その子が忘れられない……」
その時、ダイキくんが心にあらずなのも、話が弾まなかった理由もわかった。
彼は、ずっとその子を想っていたんだ。
そして、わたしもそうだ。
はしゃいでみせて、気持ちをごまかしていた。
だけど、私はどうしようもなく近澤先生が好きだった。
お互いに別々の人を見ていたのだ。
だって、失恋したという話から始まった関係。
もう気持ちの整理できてます、だから付き合います、なんて簡単にはいかない。
こうして私とダイキくんは、最後に握手をして別れた。
実にさわやかな別れだった。
彼とはもう二度と会うことはないかもしれない……。
そう思ったけれど、19歳の時に偶然、会うことになった。
それはまたいずれ書くかもしれない。
この生まれて初めてのデートは、確か5月頭。
あんなに近澤先生のことを忘れらない。
好き!
みたいな私だったが……。
このあと、恋心が冷める事件があった。
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