煩悩(14)刺激の求めすぎはイバラ道

前回に引き続き告白の話。私が5年目の彼氏のことを「好き」だったのか不安に思った理由には、告白したキッカケも一枚かんでいます。

私から告白したキッカケは、このまま5年目の彼氏としゃべらなくなるのは嫌だ、と考えたためでした。

私の高校では、2年から文理でクラスが別れます。時間割も大きく異なる理系の彼と文系の私では、それこそ付き合うくらいしか会話のチャンスがなかったのです。ましてや、まだ出会って1年、お互い運動部で放課後があいているわけでもない……その状況が絶望的であることくらいは、恋愛偏差値の低い私にもわかりました。

私は、彼と話すことが好きでした。たしかに「好みの顔を前に話せる」という現金な部分も少しは影響していますが、彼はとてもウィットに富んでいました。クラスではクールぶっているのに、一度打ち解けるとアホでしかありませんでした。

そのためか否か、私の5年目の彼氏に対する感情は「めっちゃくちゃ好きやねん!!!!」とヒートアップすることがありませんでした。付き合えた時は少し浮かれましたが、5年前の彼への「好き」と別れる半年前の「好き」はそう変わりませんでした。

イメージは、お風呂よりも少しぬるい湯にずっとつかっている感じでしょうか。波風立たない、時間が通りすぎていく感覚に近いものがありました。

お互いに面倒なことが嫌いな性分だったため、5年目まで何もありませんでした。しかし大学に入ってから、いわゆる「盛り上がりカップル」の話の影響を受けてしまいました。

高校という大学と比べれば狭いといえる環境では、自分たちの在り方に疑問や不満を持つことはありませんでした。しかし、相手が大好き! LOVE! HUG! のような二人の関係性を大学の友人から聞いて、少しうらやましいと思ったのも事実です。

その場では強がって「面倒くさいし」と言っていましたが、ごめんなさい、本当はあこがれていました。オーバーヒートを一度も経験しないまま5年たった私にとって「私にはカレ、カレには私しかいない!」という情熱あふれるカップルは目がチカチカするような、まぶしすぎる刺激でした。

今おもえばそんな二人に、少し憧れを持ってしまったことが私と彼の間に亀裂の入ったタイミングかもしれません。

彼に求めたところで、彼はそんな私の微妙な心境の変化に気づくわけもありません。ここで、何回か前の煩悩である「思ったことを言う」につながりますね。

とにかく、カップルにはそれぞれの形があります。たっくさんケンカして泣いた分だけとても仲の良いカップルもあれば、もはや恋愛感情よりも「居心地の良さ」を優先する二人もいます。

大きな刺激、自分たちとは真逆の二人をみて「自分たちがおかしい?」と感じることもあるかもしれません。しかし、それはある種「違う文化」を目の当たりにしているだけ。ぜひ、憧れを追い求めすぎて二人の関係性をもぶち壊さないように、お気を付け下さい。

書いていて思いましたが、そりゃそうですよね。かたや「自撮りツーショは当たり前、ペアルックでディズニー行ってきます!」というカップル、こなた「ちゃっちゃとご飯食べて、一狩りいこうぜ(某ゲームのマルチプレイ)!」のカップル。相容れない部分もあることを、頭の片隅に置くことは大事かもしれません。

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