見出し画像

『古郷』ー詩ー

ゆるいカーブの下り坂から
海が見えたら
時間がスローモーションに
回転し始める

古郷は懐かしい景色の中に
苦い珈琲をたらす

海沿いの道路はクネクネと
過去へ導いているように

懐かしい場所は
いくらでもある
消えてしまった物は
記憶が再現する

秘密基地は
野良猫の集会所になり
話している内容は
さほど変わりはないだろう

乱暴に置かれた
トラックの荷台は
滑り台の代わり
靴の底がすり減った

数台の車のための道路は
チョークで丸だらけ
その穴のどれかは
きっと楽園へと
続いていたはず

この町の海が好きで
この町の夕陽が好きで
古郷が古郷で
あり続けるために
戻って来てはいけない
気がした

✴︎✴︎✴︎

詩人会議掲載作品


#詩 #poetry #lyric

書くことはヨチヨチ歩きの🐣です。インプットの為に使わせていただきます❤️