『見えない枝』ー詩ー

私を見る私がいる
あの頃の私を見る私がいる

真っ赤な夕焼けが恋しい
豆腐の味噌汁に油揚げ
早く食べなさいと催促する母
夕食どきに必ず合わせるチャンネル
アニメの世界はご飯粒のように
エネルギーをくれる

宿題は嫌いだった
家では何もしたくなかった
それでも鉛筆の減りは早かった
ノートの余白には好きなアニメの
イラストを描きまくった

山口さん！
会社ではこの言葉にピクリとする
聞き慣れた自分の姓
大人になってからは
何もできない、気が付かない、
気が利かない、のろまで、
ご飯食べるのも遅い、
コピーさえ満足にできない、
両面コピーは間違える、
いつもオドオドしてる、
沢山の形容詞が
私の姓の前にはつくようになった

ただ、ただ、怖い

目を覚ませばまた同じルーティン
白い紙にフォーマットされたような
言葉を書けば
終わらせることができる

そう、実のなる枝を
花が咲く枝を　選ぼう

✴︎✴︎✴︎

会社には詩に出てくるような人は男女、年齢問わずいる。
合わないなら、合う環境を探せばいい、自分が変えることができないなら。それは逃げではない。
挑戦する事は大事だけれど自分の身の丈を知って受け入れるのも大事かなって。

#詩 #poetry #lyric