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『バスルーム』ー詩ー 

湯船はまるで羊水のように
少し涙に曇った
痛んだ心を包んでくれる
膝を抱えたままくるりと浮かべば
ひたすら母の優しい
愛のある声だけを聞いていた
あの頃に戻れる

どうしてこうも外の世界は悲しいの
どうしてこうも外の世界では
人が人を苦しめるの
どうしてこうも外の世界には
憎染みがこびりついているの

無機質な机の中には
仕事に必要な書類や文房具
カタカタとパソコンを打つ音
無表情な顔の中で
目だけが上下左右と動いている
観葉植物は、話しかけられる
こともなく窓際に座っている。
私は呼吸を忘れたマネキンのよう

規則正しく始まり終わる
信号は順に色を変え
渡るタイミングを知らせる
人生には信号機はない
自分の青は他の人には赤だ

心に重さがあるなら
家を出た 午前7時半と
家に着いた 午後8時では
重さも色も変わってる気がする

湯船の中で吐き出す言葉は
バブルとなって水面で弾ける
このまま海月になって
ただ、ただ、漂っていたい
この羊水の中で

✴︎✴︎✴︎

今年も‘22金澤詩人賞に入選する事ができました。応募数3624作品だったそうです。知った顔も沢山います。
毎年何作品か応募しますが、今年は二作品の入選で、こちらもその作品の一つです。
いつもcofumiの詩を読んで頂ける皆さんに、結果を残す事ができて嬉しいです😊

#詩 #poetry #lyric
#金澤詩人賞

書くことはヨチヨチ歩きの🐣です。インプットの為に使わせていただきます❤️