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君をおもう夏

みんな、誰かと分かりあえて羨ましい。私にはそんな日は来ない。あなたは私の孤独を理解しないし、私もあなたの孤独を理解しない。だから書いている。だから書いていく。書いていくだけ。

6/18、載せなかった日記

10年

気づいたら7月も終わり。毎日暑い。10年前の私は、瀬戸内の離島の屋外展示で毎日毎日監視員をしていたのだけど、もうどうやってあの暑さを堪えていたのかを思い出せない。何度か、本当に死ぬ、と命の危機を感じたことがあったのは確かだ。風の通らない場所でスズメバチの恐怖に怯えながら、準備した飲み物はとっくに空にして朦朧と、客のスタンプカードにシャチハタを押し付けていた。暑かった。息ができないほどに。

10年前の私は、人生で本当にただ唯一、恋をしていた。初めて会った日のことも、この人が心から好きだと思った瞬間も、今でも強く鮮烈で、未練などではないけれどそれでもこれ以上の恋はきっとないだろうと思っている。地主神社で引いたおみくじに「運命」と書いてあったこと、「けれど邪魔が入る」と忠告されたこと、好きな人の一挙手一投足にいつもせわしなく感情を揺らがせて、いつも一緒にいる同僚の女の子に嫉妬しないように息をひそめて、シフトが被らない日は手紙のやりとりをし、そんなことを日々重ねてつらくも、幸せだったこと。好きだった。本当に。別れの日は、人生で一番、星空がきれいだった。これは未練などではなく。うつくしい思い出。

10年前の夏。毎日死にそうで、暑くて、大好きだった夏。

思い出をなぞるのは木星のせい、と嘯く。幸運を司る木星が10年ぶりに私の星座にいる。行動する者だけが星の加護を受ける、なんてセーラームーンみたいなことを舌先で転がしながら、生き続けることにたいした興味もないくせにとこっそり嗤笑いながら、それでもこの夏に少し、期待しているのだ。


京都

例によって例のごとく突然京都へ行きたくなったので、勢いで宿を取り、勢いで夜行バスを予約した。といっても行くのは10月なのだけど。夏の京都なんて死にに行くようなものなので、紅葉には少し早い時期を狙って2泊3日。そういえば貴船神社に行ったことがないと思いつき、いつもどおり安井神社へ参拝して、貴船神社へ行こうかと考えている。3日もいるのにあとは全て未定。強いて言うなら鴨川でぼんやりするのが今回の旅の目的だと思う。また下鴨神社まで歩くかもしれない。

以前、「こういうの好きでしょう?」とマリベルへ連れていってもらった際に朝食をやっていること、エッグベネディクトがあることを教えてもらい、食べたいなと思ったのだがどうやら終わってしまったらしい。ここ行ったな、ここを勧めてもらったなと記憶を辿りながら調べているうち、果たして私はいつから京都へ行っていないのだろうと考えた。作った同人誌を渡しに行って以来なのだと思う。千葉にばかり通っているうちにいつの間にかコロナ禍へ移り、今日日やっと少しずつ遠出の機会を増やしながら、久しぶりの京都。岡山まで足を延ばせたらと思ったがそれは厳しそうだ(体力的に)。

何をする、よりは人に会いたいと思っているので、10月最初の3連休関西近郊でお会いできる方はぜひ。宿を移動するのは面倒なので宿は京都です。


仕事

相変わらず退屈を持て余している。仕事が好きだという人はどうして仕事が好きなんだろうか、私の心身と構造が異なるに違いないなどと考えながら、これが最後という気持ちで大金をはたいてキャリアの見直しを図ろうか悩んでいる。でもそもそも学校という場所も好きではなかったし、別居するまでは家族との暮らしにも息苦しさを覚えていた私は、どう足掻いても組織でどうこうするのが向いていないんじゃないかと思う。忙しくても退屈でもどちらでも不満で、とにかく日々をやり過ごすことに心血を注いでいる。

京都へ行こうと思ったのも、唐突に、ワーケーションがしたいなと考えたからだった。出社義務のある企業なので今回はワーケーションではなくただの休暇だが、ワーケーションが叶えられるならいいなと、願ってしまったのだった。また少し、この、没個性で凡庸で無計画な都市構造の、旧態依然とした、ただ漫然と住みやすいだけの地元から出ていきたい気持ちが薄っすらと強くなりつつある。結局帰ってくるのはわかっているのだけれど、ここではないどこかを追い求めているのではないのだけれど。コロナ禍を経て、外に出られる喜びをじわじわと噛みしめているうち、10代の頃に抱いていたあのどうしようもない渇望が少し、甦っているのかもしれない。諦念の底から。怨念のように。

たまに言う人がいるよな、もっと別のところで生きてゆくべきだと私に言う。どうでもいいんだよ、どうでもいいんだよな、だってほら米津玄師だって歌っているだろう、彼もまたいつもどこにも行けないと歌っている。みんなそうして、どうにもならない日々をその場所で足掻いている。

2020年11月3日の日記

長期留学も青年海外協力隊もカナダへのワーホリも、ワーホリに至っては手続きまで辿り着いて全て行けずじまいだったので、いつまでも私はここに滞留している。倦んでいる。本当は倦んでいるのだと思う。いつまでも仕事に不満を持ち続けているのもそのせいなのかもしれないよな。


PTSD

5月から6月は気分が落ち込んでいて、今までもなんとなく「そうかもしれない」と考えてはいたのだけれど、やっぱりこれはPTSDなのではないかと強く感じる出来事があって、そこから日記を書かなくなってしまった。

土曜日を引きずってお昼過ぎまでダラダラしていた。父の誕生日であり父の日なので、13時頃になってようやく身を起こし、記念日に託けてずっと買ってみたかったTHE Ugly Ducklingのカップケーキを買いに行った。ダラダラしていたせいなのかやたらとタイミングの悪いことが続き、パッと買ってパッと帰ろうと思っていたのになぜだかビルをあちこち歩きまわる羽目になった。さっさと帰るつもりだったので突っ掛け状態のサンダルを履いてきて、かっぽかっぽと音は鳴るしソールがペラペラなので痛いし何してんだろなという気持ち。迷った末に、羊とハリネズミのカップケーキを買った。かわいい。エレベーターで人にぶつかってアァ!ってなったけど開けてみたらどうにか無事だった。夕飯のあとにみんなで食べた。濃厚チーズケーキと濃厚チョコレートだった。

キッチンで食洗器にお皿を並べているとき、母に仕事が忙しいのかと聞かれ、忙しくはないけど上司とのコミュニケーションがうまくいかないと強張った声が漏れた。「今が踏ん張りどころだから頑張れ」みたいな激励を受け、まあそれはそうなんだけれど、とはいえ別に頑張る気もないけれど、といつもみたいにぬるっと聞き流せばよかったのに、キッチンで、母親に、周囲とのコミュニケーションで「がんばれ」と言われるその状況が、かつて中学生の私がたった1回だけ母にいじめがあることをそれとなく話したときに「自分でどうにかしなさい」と言われた状況に薄っすらと被さって、胸に鉛が落ちてきて、詰まって、よくわからなくなって、自宅に帰って布団の上でこの歳になってもやはりぼろぼろと泣いた。つらかった。頑張れと言われた瞬間にもう、自分ではどうしようもない何かが全身を襲い掛かって、フラッシュバックだとわかるのにわかったところでだから何だという感じで、それに付随して大学受験のときとか、院進で喧嘩したときとか、何もわかってくれていない、助けてくれない、愛しているけれども心から信じ切ることができない、苦痛とか悲しみとかそれとももっと怖気の走るような感情、そういうのに圧し潰された。耐えかねて薬を飲んだら黒々とした私はすっと消えて、だからきっと脳のバグなのだけれど。

6/18、載せなかった日記

いつまでも増悪し続ける過去をぐうっと腹の奥に棲まわせて、よく生きてんよな私とたまに思う。そう考えるとき生きることを手放してしまった人びとへ身勝手な感傷を抱き、だけど私とあなたの孤独は違うものだものねと息を吐く。あなたは私の孤独を理解しないし、私もあなたの孤独を理解しない。

それでもさ、ryuchell、私はあなたが好きだったよ。


そのほかの7月

・ステートメント、ボディコピー修行をしています。ようやく1本納品した。引き続き無償で書かせてくれる方を募集する次第。
・小説を書こうな。
・SHEを休会することにして駆け込みであれこれやる!と思ったけどなんだかんだやらない。こういうところ。退会するか悩むね本当に。
・イーロン・マスクはクソ。
・友だちとホテルビュッフェに行き、マークジェイコブズで散々悩み倒して新しい財布を買った。いい。とてもかわいい。日々愛を感じる。
・友だちと店員さんマジでありがとう。
・8月号の三浦界最高だったんだが!!!!!!!!!!!
・亜未は嫌いだったが亜未編は高2夏~文化祭並みにめちゃくちゃ読んだ。今も読んでいる。3年文化祭最終話も何度読んでも最高。
・眼鏡が壊れて早2ヵ月ほど、ようやく新しいものを買った。快適。
・毎日コンタクトレンズは無理。
・毎日米津玄師に対する感情を持て余している。
・ジブリに影響を受けた記憶がないので日本人そんなにジブリに影響受けて生きてんのかってびっくりしている。周囲の盛り上がりほどジブリ好きじゃないって言うと非国民扱いされるのまじで解せない。
・ジブリの女性像が好かない。
・三鷹は行ったことがあります。勉強がてら。美術館なので。
・美術館といえば駆け込みで「糸で読む物語」へ。一個一個は興味深かったけど展示としては脈絡がなく結論も見いだせず構成がだいぶ弱かった。最近見たなかで一番不出来な展覧会だった。
・地元まじいい加減、ファインアートの展示を試みてほしい。
・MISAMO強すぎてMISAMO愛爆発した。
・土曜日は基本的に姪ツインズのベビーシッターをしている。
・箇条書きしてみると意外と話題があることに気づきますね。びっくり。


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