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ハチミツ多めで

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村田真優「ハニーレモンソーダ」の話、少女漫画の話、たまにフェミニズム。
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「私のもの」として磨きあげてゆく

人の作品を自分なりに解釈し、自分の言葉で伝えなおす作業は、その作品をより深く理解することであると同時に、他者のまなざしの中で「私の言葉」「私の感情」に出会いなおし、「私のもの」として磨きあげることだと思う。「私のもの」とは、作者に成り代わるという意味ではなく、作品を私の血とし肉とし魂としてゆくということだ。 これは、入谷聡さんが開催されていた非公式投稿企画「磨け感情解像度」に参加するために、「だから私は「馬と鹿」を聴く」を書き下ろしたときにも考えていたことである。 自分の

三浦界がただ好きすぎる話

三浦界の顔面について語り倒すときが来た……!!!!! noteでマンガ感想文のハッシュタグが爆誕したわけだが、いや、私とハニレモと三浦界のためのタグじゃん?????と抜群の瞬発力で飛びついて書く。 寡聞にして知らなかったのだが、マンガ発見サービス「アル」を通して、転載許諾済みのマンガのコマを貼れるらしい。は?ナニソレ???まじで?????マジで言ってんの???????私の愛する三浦界の顔面について熱くプレゼンできるってこと???????神かよ…… いや待て、アルにハニレモ

ハニーレモンソーダ、蜂蜜多めで。

三浦界の顔面がやばい。 と、三箇日からずっとさわいでいる。マジで三浦界の顔面がやばい。顔面もやばいがスパダリぶりも半端ない。ハイスペダーリン最高かよ!!! 三浦界とは、りぼんで連載中の村田真優による青春恋愛漫画「ハニーレモンソーダ」の登場人物である。コミックスは十二巻まで出ている。春まで待てそうになかったので電子で本誌も買った。まさか三十を超えて自分のためにりぼんの本誌を買うとは思わなかったが、Kindle最高、Kindleは神、Kindle使い始めてから漫画を読むハード

¥100

「少女漫画は顔だけ」の真髄

「少女漫画は顔だけ」とよく言われる。 確かに、俗に言う少年漫画に比べると、緻密な背景、身体描写や、怒濤の台詞回しはないし、やたらと瞳のアップが多い。雰囲気をさまざまなトーンで表現するのは定石だろう。そして、物語の展開よりは登場人物の関係性に重きが置かれるので、ナレーションのような第三者視点から見る語りより、内面の独白表現がきわめて大事なものになっている。 で、冒頭の言説は主に否定的なニュアンスで用いられることが多いけど、私からすると「え? それがいいんじゃん?? だめなの

主人公がひとりで立てるとき、きっと恋ももっとかがやく。

 村田真優「ハニーレモンソーダ」の中で、主人公の石森羽花が、三浦界との交際を周囲に反対されたときに、きっぱり言い切る台詞がすきだなと何度も読み返している。 「先生、私は、三浦くんがいなくても生きていけます」  この言葉は決して否定的な響きではなく、自分の自立について肯定的に、羽花の口からこぼれる。そしてひとりでいる以上に他者がともにいてくれることの意味について、「でも、決して輝けない」「三浦くんの力を借りて理想の自分を追い掛けているんです」と彼女は続けるのだが、王道の恋愛

恋って誰かとしなくちゃだめですか?

相変わらず村田真優「ハニーレモンソーダ」を読みふけっては、石森羽花ちゃんのことが大好きな三浦界くんの顔がいい、と思って日々を過ごしているんだけど、読者の私はそりゃあもう死ぬほど「恋愛」が苦手であるので、「生まれたばっかり」の羽花がときどき不安げな表情を見せるたびにそのことを思い出したりもしている。ただ、羽花とは理由が異なるけど。 私の「恋」と、友人の「恋愛」小学校4年生のころ「好きな人いる?」と訊かれて、なんだかよくわからないけど、とりあえず同級生の中で一番人気だった男の子

そうだ、少女漫画を読もう!

(紹介追加 4/6) 年明け一発目に書いた「ハニレモにドハマりしたんだがとりあえずまじで三浦界の顔面がやばすぎる」とさけんだだけのnoteがもう少しで1,000ビューになる。 閲覧数が4桁になっている記事なんて編集部におすすめしてもらったものしかないのにこの記事は本当に摩訶不思議と思いつつ(後半はだらだら日記を書いたから有料だし)、なんだみんな少女漫画大好きなんだな!??!?と都合よく解釈しているので、愛すべき少女漫画を列挙しようと思う。 漫画のおすすめ記事を見ていると

電子か、紙か、それは問題なのか

結局のところ、漫画とは、紙媒体で読むのと電子媒体で読むの、どちらが適しているのだろうか。 ということを半月ほど考えている。 小説だとか評論だとかの活字の塊を私は電子では読まないので、これはあくまで漫画の話だけど。ハニレモ記事の冒頭でKindleを絶賛したわけだが、3ヶ月も同じ漫画を読みつづけていたら、電子の限界を感じはじめた。 ので、個人的な感想を比較してみようと思う。 サービスはKindleとRenta!を使ってます。また、前提として、私のデバイスはスマートフォン(Go

シンデレラの魔法は解けない

村田真優『ハニーレモンソーダ』13巻が発売されたので、思いの丈をここに記す。私は本誌で読了済みだったとはいえ、1冊にまとまるとやはり愛があふれてとまらなくなる……。というわけで、私は1ミリも遠慮なく盛大にネタバレを踏み抜いた記事を書くので、読みたくない人は自衛でお願いします。 ちなみに私がこれまでに書いてきたハニレモ関連の代表的記事は下記のとおり。ハニレモが最高だから読むべき!とネタバレなしに説明しているのは、1番上「ハニーレモンソーダ、蜂蜜多めで。」という記事なので、未読

表紙絵で関係性を読む

村田真優『ハニーレモンソーダ』の中身を一通り(?)(?)(?)読みふけった私であるが、今は表紙を眺めて物語に想いを馳せるという遊びに興じている。 いちおう、美術作品を読む勉強をしていた人なので、そこにセリフがなかろうとストーリーが克明に描かれていなかろうと、私は楽しめるんだよね!!!というおのれの強みを大いに生かした遊びである。 写真と共にnoteで熱弁しようと思ったが、著作権がこわいので、文章で熱弁する。表紙が気になる人は『ハニーレモンソーダ』全巻買ってくれ。 * 本