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#29 担任はみゆき先生!

《これはトトさんと、私カカさん。そしてココちゃん3歳の暮らしのお話》

4月。10日ばかり過ぎ、ようやくいつものリズムを取り戻してきた我が家。
新しい保育園の入園を目前に「行かない」と言い出したココちゃんにどうしたものかと心配したけれど、
トトさんの言うとおり、全然大丈夫だった。

3日目。
お迎えに行くと、担任の先生が出てきて「ココちゃんが私の顔を描いてくれたんです!」と、
画用紙を広げて、大きな顔らしきものが描かれているのを見せてくれた。
「力強くていいでしょ?」
担任の先生は、みんなからみゆき先生と呼ばれていて、どうやらベテランの先生らしい。
ココちゃんの描いた絵のとおり、体格も声も大きい。そして心も大きい。大きいとは言わないか、広いらしい。

ココちゃんが描いた絵は、大きな目が特徴で、口は横に長く引いた一本線。
ほっぺなのかな。その辺りに丸がグルグルっと描いてある。
夕方のお迎えを待つ時間は、床に寝転がってお絵描きをしていることが多いことも教えてくれた。

「お父様もお母様もデザイン関係のお仕事されているから、きっとココちゃんも
そんな才能があるのかもしれませんね!将来が楽しみですね!」
通りかかった若い先生が声をかけてくれた。
「そうですか?ありがとうございます」お礼を言うと、「おしゃれですもんね、お父様もお母様も!デザインやってる方って感じがしますもん」
少し馴れ馴れしい気がしたけど、褒めてくれるので悪い気はしなかった。
まだまだ話がしたい様子だったけど、みゆき先生が目配せをしたのをみて
若い先生は「また明日ね!」と部屋に戻って行った。

みゆき先生が「お母さんごめんなさいね。注意しておきますね」と言って深々と頭を下げる。
「大丈夫ですよ!また明日もよろしくお願いします」
とは言ったものの、馴れ馴れしい態度のことかな?
ちゃんと聞けば良かったかな。

自転車置き場に向かっている途中、「デザインのお仕事されてるの?かっこいいね〜」と、赤ちゃんを抱っこしたお母さんが話しかけてきた。さっき玄関にいた人だ。
どうやら同じクラスの男の子のママらしい。
それを見てココちゃんがブランコに走って行ってしまった。
男の子も後を追って行く。
「デザインって何のデザイン?お父さんもなの?え、なになに、職場が同じとか?」

仕事のことは話さないようにしているから、こういう時ちょっと困ってしまう。
お客様が知り合いだったり、イベントの内容は非公開だし、秘密事項がどこから漏れるかわからないしね。信用が大事な仕事だと思っているから。

困ったな・・・。

苦笑いしていると、自転車を止める音がして、いっちゃんママがお迎えに来たのが見えた。
タイミングいい!!!神!!!
「いっちゃんママ〜」ココちゃんが走っていく。
「ごめんなさい!また今度」ぺこりとお辞儀をしてブランコから離れることができた。

それ以来、お迎えはトトさんが行っているから会っていないけど、感じ悪かったかなと、今もちょっと気にしてる。

次のイベントに使う衣装のデザイン案を作りながら、ふとあの日のことを思い出した。

あのみゆき先生の「ごめんなさいね」は、もしかしたら若い先生が、私の仕事のことを、
他の保護者がいる前で話したことへの謝りだったのかもしれない。
だから、それ以上話そうとしている若い先生をそっと部屋に戻したのかも。

金曜だからと夜更かししてワインを飲んでいるトトさんに話してみた。
「そうだよ。色々な仕事をしている人がいるから、
先生達は気をつけていることなんだと思うよ。若い先生も次からは気をつけるんじゃない?」
やっぱりそっか。

あの後、みゆき先生はトトさんにも謝ってくれたらしい。
あの件についてだけでなく、いつも細やかに心配りをしてくれるそう。

みゆき先生、お母ちゃんみたい。

なんだか、いろんなことに対しての安心が増えた気がした。
土曜日の打ち合わせのために作っているこのデザインも後少し。

ペンの進みがさっきまでと違って軽く感じる。


ここんとこ仕事のことで頭がいっぱい。そんな時にココちゃんの存在は癒し。頑張ってる自分に、そして家族にお礼の気持ちをいつも持ってたいですね。トトさんのお話はこちらから

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