しあわせの王子　続

2024.7.18
インスタグラムにあげたもの

⭐︎

しあわせの王子のおとものツバメは生まれ変わって
こんどは王子を殺さないように
南へ飛んでからキスしようと決めてきた

彷徨って帰ってきたツバメは戸惑って
それでも王子のあたりをうろうろしつづけた
王子が好きで　けどなにかこわかった

王子は もう割らまいと心臓を閉じてまもって
もう剥がさまいと金箔をきれいにおおって
配り与えることを強くこわがった
ルビーの剣をかたく握りしめ光らせた

道のり変えてもそのためにふたりは死にかけで
ほほえんで天使が 楽園での記憶を　夢の中で吹聴した

ツバメは笑って涙をふいて
眠ってる王子の夢の中にいってキスをした

ツバメはクジャクになることにした
愛する王子の博愛か罪ほろぼしを受け継いで
なおも王子も自分も殺さなくて良い道を

時折クジャクはさみしくて
やはり自分は王子ではないとかなしんだ
王子のそばにいたかった
ツバメはクジャクをやめて
あたらしいせかいをうけいれた

目に映る　前よりもずっとしあわせそうな人々の姿に
誇らしい王子を
たたえて歌った

水あびをして日なたぼっこして てづくりのごはんをたべて　羽つくろいして
そのうちに
あたらしい歌を　口ずさんでいた
わからないけれど　たのしかった

しあわせなツバメの中で
王子は やわらかく あたたかく 光っていた
何も失うことなく　おだやかに
やわらかに笑って 和ませた

おもしろおかしなジョークをきかせたりして
みんなもツバメも　よろこんだ

ツバメが笑ってた　

世界がしあわせにみちていた
なんてことない世界が 平らかにみちていた