『熱帯魚屋のちょっと先湯 その2』

引っ張った割には
案外普通のレポートで終わりそうだが、
熱帯魚屋のちょっと先湯の続きを書こうと思う

自然と下足箱の番号87に自分の靴をしまい、
いよいよ突入

脱衣場のロッカーが若干チープな感じが
したが、ここでも記念なのか番号49のロッカーを
選んだ

なぜ49なのか

一般的には4と9は縁起の悪い数字
4は死を、9は苦を連想させるのか飲食店のカウンターでも
この数字を抜いているお店もあるぐらいだ

実は俺が小学生の頃に住んでいた金沢の実家の電話番号

市外局番0762のあとが何とびっくり

49-9949 死苦苦苦死苦

特攻服の刺繍かよっ!(年代は昭和)と
ツッコミが入りそうな電話番号だったのだ

中学生の時、自分の家の電話番号を英語で
言ってみよう、という英語の課題があった
(そんなしょうもない授業をやっているから日本人は英語が
いつまで経っても喋れないのだ)

頼むからあてないで、と英語の藤本先生にテレパシーを
送ったのだが藤本先生は見事に俺を指名した

”フォーナイン、ナインナインフォーナイン”(震える声で)

これは何の話だ?

(※安心してくれ、ただの自己満足だ)

時を戻そう(ぺこぱ)

浴場内を見渡すと、兎に角広い

大きな円柱の柱が目に入る

浴場内全体を白いタイルが多いつくし
電球色の明かりが何とも言えない昭和な雰囲気を醸し出す

俺は軽くシャワーで体を流し、先ずは外の露天風呂を目指した

恐らくこの露天風呂は後から増築したのであろう
若干中と雰囲気が違うのだが、それがまたいい

屋根付きの露天風呂、しっかり濃いめの黒湯

俺の基準で黒湯の濃さは、醤油、珈琲、めんつゆ、とあるのだが
ヌーランドさがみゆさんは珈琲と言ったところだ

既に先客がいるようで、俺は静かに空いている浴槽内に
体を沈める

”だいたいさあ、あの荷物を1人で運べっていうのが
おかしいんだよ。物流の限界をわかってないんだよね”

浴槽のへりに座っている常連らしきおじさん達が
仕事の愚痴をこぼしている

ただ俺のツボはそこではない

このおじさん、声のトーンが顔と一致していない

明らかに声が高いのだ

そのせいか、愚痴をこぼしているのに、こっちは笑みがこぼれてしまうのだ

そんな聞き耳を楽しんでいると、子供達のグループが勢いよく入ってきた

歳は小学生2〜3年といったところだ

面白いもので全員の体つきが見事に違う

痩せ気味、太っちょ、背が低い

そしてそのうちの1人が仲間の1人にこんな事をいう

(ケンちゃん、カレー味のうんことうんこ味のカレー、どっちがいい?)

おい、少年!そのネタは俺の小学生の時の鉄板ネタだぞ!

昭和から、平成、令和と時代が移りかわり

変わりゆくもの、変わらないものが振り分けられるが

まさかこのネタが普遍的であったとは

温故知新ではなくう◯こちん◯ん

やばい、猪木のビンタが飛んできそうだ

猪木(そんなギャグでお客様が喜ぶと思っているのか?出てけっ!)

露天風呂を楽しんだ後、俺は浴場内に戻り湯船を楽しむ事にした

炭酸泉、バイブラ、ジェット、水風呂、浴場内にも黒湯があり

かなり充実している

まずはジェットバス

大きめの浴槽内にあるジェットなのだがかなりの水圧

縁の手すりを握っていないと縁日のスーパーボール掬いのように
ぐるぐると浴槽内を回ってしまう

間も無く40歳を迎えるおっさんがジェットの水圧に
勝てず浴槽内をぐるぐる回る絵を想像してほしい

これだから銭湯は楽しいのだ

ある程度身体が温まったところで水風呂へドボン

ここは水温低めでかなり冷たい

サウナから出てきたグループがこの水風呂の水温について語っていた

その後に炭酸泉

温度は若干低めなのでずっと入って入られそうだ

一度外に出て外気を浴びる

その後露天風呂に入るのだが、1人の男性に話しかけてみる

俺(ここはよくいらっしゃるのですか?)

男性(近くなのでよく来るんですよ。僕銭湯好きなので近場は色々
回っているんです)

俺(そうなんですね。僕も銭湯好きで今日で都内の銭湯100軒目なんですよ)

男性よ、あなたのせいではない
あなたよりも俺の方が銭湯の愛し方がちょっと上回っているだけだ

100軒というワードを出した瞬間、男性の顔つきが変わった
メガネがないのでぼやけているが、俺にはわかる

男性と会話を楽しみつつも俺の口元は写楽よろしく
明らかにへの字に曲がっていただろう

安田さん的に言わせてもらえば

This is ドヤ顔!!! なのだ

ばつが悪いのか、男性はそそくさと露天風呂を後にした

しばし露天風呂を楽しみ、次は内湯の黒湯を楽しむ

ここでは味のあるおじさんが数人、お湯と一体化していた

話しかけたかったが皆、顔つきが硬い

リラックスした顔つきではないので話しかけるのはやめる事にした

ふと脱衣場に目をやると
おじさんがタオルで体を拭いていた
扉に背を向け入念に足元拭く
その絵が嫌でも黒湯から見えてしまう
おじさんのおし◯が全開なのだ

まあ、これも銭湯の醍醐味だ

んなぁこたあない(タモリ)

俺は空いてるカランを探し
身体を洗う事にする

隣のおじさんは全身泡だらけにしながら
一生懸命に己の体をゴシゴシしている

お風呂で全身泡と聞くと色っぽい表現かもしれないのだが
全くそんな事はない
何故なら主役はおじさん、いや、おっさんだから

そしてこのおっさん、ムツゴロウさんが動物をあやすかの如く
全身で身体をゴシゴシするのだ

(おー、よしよし、そしてゴシゴシ)

容赦無く泡が俺に飛んで来る

御構い無しに

(おー、よしよし、そしてゴシゴシ)

俺は自然と自分の身体を洗う力が弱まる

あの域に行くにはまだまだ修行が足りないようだ

俺は身体を洗い終え、湯船に入り直し脱衣所へ

ヌーランドさがみゆさん、100軒目にふさわしい
素敵な銭湯でした

俺は最後に受付の女性に銭湯お遍路マップの2冊目を
渡し、12番目のマスにスタンプを押してもらった

女性は最近入ったバイトさんのようで
押されたスタンプはお遍路用ではなく
ヌーランドさがみゆオリジナルのロゴスタンプだった

(これでもいいかな?)と思ったが
女性は異変に気付き、再度お遍路用のスタンプを押してくれた

記念すべき銭湯お遍路マップ100箇所目

ヌーランドさがみゆさんは奇跡のWスタンプ

画像1

災い転じて福となす

そんな気分だ

俺は熱帯魚を曲がり
蒲田温泉の通りを颯爽とキックボードで戻り始める

ここまでの道中で気になるインド料理屋を見つけたので
ご飯を食べて帰ることにした

店員のインド人がたどたどしい日本語で俺に話しかける

店員(ゴチュウモンハオキマリデスカ?)

俺(カレーアジノカレーヲクダサイ)

(※安心してくれ、ただの自己満足だ)


おしまい



※追記
準レギュラー正田さんに読んでもらったところ

正田(ちなみに僕は一番黒いレベルのみ「コールタール」って呼んでます(笑))

とナイスな返信が返ってきた


正田さんは130軒制覇ではなく現在126軒制覇だそう

この場を借りて前回のコラムを訂正する事を報告します



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