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はなぶさりあむ的ヘビーメタル入門プレイリスト 〜ヘビメタFAQもあるよ〜

今回も前回に引き続き、音楽の話題です。

前回のnotoで2019年のプレイリストに関する記事を書いたのですが、書くのがすごく楽しかったので、第2弾です。

私も中学生~高校生の頃は、BUMP OF CHICKENやASIAN KUNG-FU GENERATION、ELLEGARDENなど、同世代で流行していた音楽を聞いていました。
しかし、高校生くらいになると、探求心から洋楽を聞き始め、次第にハードロック/ヘビーメタル(以下、HR/HMと表記します。メタル界隈ではよくこの表記を使います)を聞くようになり、次第に周囲のクラスメイト達と音楽の趣味が離れていくのでした……

よく「メタルを聞きます」と話すと、驚かれたり、引かれたり。だいたい話が広がりません。多くの人がメタルを聞いたことがない様子です。

ここで私は訴えたい! ヘビーメタル、悪くないよ! いや、むしろいいですよ! 食わず嫌いはもったいない! 意外とキャッチ―で奥深いメタルの世界に、みんなをご招待したいのです。
多くの人が抱くヘビーメタルへの疑問・質問にも、独断と偏見でお答えしていきます。

このnoteを読み始めたあなた! ぜひ最後まで読んで、1曲くらい聞いていってくださいな! 

HR/HM入門 ~初級編~

Bullet For My Valentine / Scream Aim Fire (2007)

はやい!やすい!うまい!

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まずは初級編1曲目。出来るだけ聞きやすいものはないかと考え、自分がメタルを聞き始めた頃に好きだった曲を選びました。UKの人気バンド、ブレット・フォー・マイ・バレンタイン。
メタルの楽曲の多くは、とても長く(長いと10分以上ある)、とっつきにくいので、割と短めな曲を選んでみました。また、「デスボイスは苦手」という方のために、メロディーのある楽曲にしましたが、シャウトもありメタルらしいハードさも兼ね備えています。もちろん、メタルの醍醐味・ギターの速弾きも盛り込まれており、はやい(曲が短い)/ やすい(聞きやすい)/ うまい(技巧的)な1曲となっています。
あと、単純にボーカルの顔がいい。

Dragonforce / Seasons (2012)

圧倒的ピロピロ疾走感

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日本でも大人気のドラゴンフォース。彼らの特徴は圧倒的疾走感!
メロディックスピードメタル(通称メロスピ)とカテゴライズされるように、メロディーがよくて、テンポが速いのが特徴です。
また、ギターソロは速すぎてピロピロと聞こえることでも有名です。
1曲は長めですが、アニソンに親しみのある日本人には耳馴染みがよいのではと選びました。
(正しくは、日本のアニメソングがHR/HMから影響を受けているということになります。みんな間接的にメタルを聞いているんだぜ!)

FAQ ~ パンクとメタルの違いが分からない

メタル好きを公表すると、もれなくこの質問を受けることになります。もちろんロック史を書いた書籍等には詳しく書かれていますが、たぶん皆さん興味ないと思うので、私の独断と偏見で印象をお伝えします。

語弊を承知で、一言でいうと… パンクは陽キャ、メタルは陰キャ。

パンクはもともと反体制的(不良的)な側面がありますので、「とがっている」といった印象があります。
また、既存の概念を壊す感覚から、技術的にうまくなくてもいい風潮があります。いわゆる「ノリがよければOK」という感じですね。
実際に、パンクの楽曲はシンプルな演奏が多いため、マネしやすい→人口が増える→大衆的になりやすい、と広がったと推測できます。
高校の学園祭では、こぞってGreen DayのAmerican Idiotが演奏された時代がありました。
日本でもTHE HIGH-LOWSやHi-Standardなど、バンドブーム・メロコア(メロディックコアパンク)ブームもあり、日本人には馴染みのあるジャンルと言えるのではないでしょうか。
このような特徴から、不良的でノリ重視な陽キャ的ロックであると考えられます。

一方、メタルはパンクとは異なり、既存のロックンロールをよりハードにしていって生まれたジャンルです。
よりハードにするためには、技術的にうまくなる必要があり、今でも演奏の難しさ重視という感覚があります。
また技術面の向上のために、体も仕上げる必要もあり、マッチョこそ至高な考え方が存在します。(ひょろひょろのメタラーは少ないです)
技術にも身体にもストイックなヘビーメタルは真似しにくく間口が狭くなりがちなので、オタク的なジャンルとして深化していったように思われます。
日本のメタルバンドももちろん存在しますが、マニアックなジャンルと言えると思います。
ただ、愛好家(メタルを好んで聞く人)は日本にも多くいるんですね。
メタル限定フェスが開催され盛況するくらいにはいますし、メタル専門雑誌もあります。皆さん控えめで自己主張してないだけみたいです。
近年人気のBABY METALのような、ジャンルレスな国内アーティストが世界で活躍することで、日本でもメタルの間口が広がるといいですね。

HR/HM入門 ~中級編~

Slipknot / Before I Forget (2012)

「見た目が怖い」を乗り越えた先に

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「メタル=怖そう」をまさに体現しているのがスリップノット。
メンバー全員デスマスクを着用している覆面バンドです。
もちろん見た目は怖いですが、聞きやすい楽曲もありますよ!
選んだ曲は、デスボイスありシャウトありですのでハードですが、ノリの良さもあります。
日本でも人気で、来年春には来日も決定しています。
スリップノットを聞いていると言えば、一目置かれること間違いなし!

Metallica / Master Of Puppets (1986)

男は黙ってメタル!

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いま世界で最も人気のあるメタルバンドのひとつであるメタリカ。日本でも大型フェスのヘッドライナー(トリ)を務めることもたびたびあります。
1986年の楽曲ですが、とても有名で人気な曲なのでプレイリストに入れてみました。
チャラついた音楽の真逆にあるようなストイックでパワーのあるメタルで、ファンも男性がとても多い印象です。
男は黙ってメタル!!
メタリカ好きならみんな心は漢だ!!!

HR/HM入門 ~変化球編~

ここでちょっと番外編。メタルといっても、さらにジャンルが細分化されていて(メタラーはカテゴリわけが大好き)、変わり種もご紹介します。

Korpiklaani / Ievan Polkka (2012)

ニコ動御用達”森メタル”

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ホームビデオのようなふんわりクオリティーのMV、全編空耳に聞こえる歌、邦題の「酒場で格闘ドンジャラホイ」という衝撃。「Wooden Pints」はニコニコ動画で流行したので、コルピクラーニの存在をご存じの方も多いのではないでしょうか。
今回紹介する曲はフィンランドの伝統的なポルカをメタルアレンジしたもの。
メタルは北欧圏で人気のジャンルで、民謡や民話を取り入れたバンドも存在します。
陽気でちょっと面白いメタル、ぜひ聞いてみてください。

Turisas / The March of the Varangian Guard (2011)

壮大な”バトルメタル”

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こちらも北欧フィンランドのチュリサス。(残念ながら現在活動休止中)
イントロからして、映画のサントラみたいなので、「これがメタルなの?」と思われる方も多いかもしれません。
メタルとは、とても懐の深いジャンルなんです。
チュリサスはヨーロッパ各地の歴史上の「戦い」をテーマにした「バトルメタル」を掲げています。
この曲もギリシア王のため出征する兵士たちを歌った曲です。
ものすごく士気が高まるので、出勤の電車でよく聞いています!
意識高い系の皆さん、朝からバトルメタル、いかかですか?

Steel Panther / Death To All But Metal (2009) 

メタルあるあるバンド

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メタルにも陽キャな時代があったんです!
80年代に流行したL.A.メタル。アメリカ・ロサンゼルスを皮切りに流行したメタルで、派手なファッション、メイク、バイクに女……。
硬派なメタリカなどとはかなり趣が違いますね。
そんなL.A.メタルを復刻しつつ、メタル界隈あるあるや名曲のパロディーを盛り込んだ楽しいバンドが、スティールパンサーです。
タイトルの通り、メタル以外みんな×ね!さまざまなアーティストの実名を出してdisっている歌詞はさすがです。それ以外はひどい下ネタ!
しかし、技術はホンモノ。演奏も歌もバカにできない本格的なバンドです。
やっぱりメタルは懐が深いですね〜

FAQ ~ メタルって顔白塗りでしょ?

メタル好きを公表すると、もれなくされる質問その2。
パンクとメタル問題が複雑なのはわかるのですが、なぜこの質問をされるのか、いつも不思議に思っています。

なぜなら、白塗りのメタルバンド、全然いないからです。
(実際存在はしますが、多分バンド名言っても知らないと思うので、その人たちが日本で有名だからではないと思われます)

そもそも、いわゆる白塗りと言われるものは「コープス・ペイント」と呼ばれていて、主にブラックメタル(反キリスト主義、悪魔主義をテーマにしたメタル)にて多く用いられてきました。
ほら、皆さん! ブラックメタルの代表バンド、ご存知ないでしょう。つまり多くの人が認識している「メタル=白塗り」は勘違いの可能性があります。

そこで、勘違いする理由を自分なりに考えてみました。

1. KISS / 聖飢魔IIの影響

大御所ハードロックバンド・KISS。HR/HMを詳しく知らない人でも、あの白塗りメイクはご存知ではないでしょうか。
彼らのメイクが、そのままハードロックの象徴とされているような風潮がありますね。(The Rollind Stonesの唇と舌のマークなども同じ扱いを受けているでしょう)
また、国内では、デーモン閣下率いる聖飢魔IIも、悪魔(のような白塗り)ビジュアルがトレードマークで、強い印象を残していると思われます。
このように、白塗りが印象的なバンドにより、「HR/HM=白塗り」という概念が根付き始めたと思われます。

2. 「デトロイト・メタル・シティ」の影響

若杉公徳さんの漫画で、実写映画化もされた「デトロイト・メタル・シティ」。
若い世代の方は、この作品で「メタル=白塗り」を認識されたのではないでしょうか。
作中には、主人公・根岸くん(ヨハネ=クラウザーⅡ世)のデスメタルバンド・DMCが登場しますが、そのビジュアルはまさに白塗りです。
(先述しましたが、白塗りはブラックメタルに多いのであって、実際デスメタルバンドは結構普通の格好をしています、ここも小さな誤解)
松山ケンイチさん主演でヒットした映画の影響もあり、「メタル=白塗り」が定着したのではないでしょうか。

このように、日本でヘビーメタルがあまりメジャージャンルでないために、特定のバンドや漫画、映画からのイメージが先に定着してしまい、「メタル=白塗り」と認識している方が多くいる可能性がありますね。
この記事を読んで、意外とそうではないよ!ということを知っていただけたら幸いです。

しかし、ここで残念なお知らせ。
先述したバトルメタルのチュリサスは、顔「赤」塗りです!!!(あとたまに斧とか弓とか持ってる)
「メタル=白塗り」じゃないなんて言ったけど、なんか、急に説得力なくなったわ!!

HR/HM入門 ~上級編~

Dream Theater / The Enemy Inside (2013)

複雑で難解こそ至高

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ここからは上級編。ヘビーメタルの醍醐味を感じられる作品を挙げました。
まずは、メタル界でもかなり技巧派のドリームシアター。演奏の難しさはメタル界一ではないでしょうか。
リズムは変調するし、曲の構成もたぶん日本のミュージックシーンでは聞いたことがないものばかり。耳馴染みという点では、かなり新鮮に聞こえると思います。
その中でもこの曲はかなり聞きやすいのではと選びました。(ファンの間では聞きやすすぎて賛否が分かれる曲でもあります)
とはいえ上級編。キャッチーさとともに、難解で複雑なメタルをお楽しみください。

Helloween / Keeper of the Seven Keys (1988)

ここまで来たら君もメタルマスター!!!

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最後はドイツのハロウィーン。彼らの楽曲はノリも良くメロディアスで聞きやすく、日本でもファンが多いです。(よく来日してくれます)
選んだこの曲はなんと13分越え!
メタルは長い曲が多いんですよね。
内容は、主人公が七つの海を束ねる覇者となるべく、仲間とともに悪を倒す、といったもの。
あれ? RPGか何か? と思ったあなた。実はメタルにはファンタジックな世界観の歌詞も多いんです。
何度も転調し物語のごとく進んでいく曲ですが、メタルにはけっこうあるものなんです。

ここまで来ればあなたもメタルマスター。
いろいろな趣のメタルを聞いて、何かお気に入りは見つかりましたでしょうか。

最後に、いくつか補足を。

今回選んだプレイリストには、あまり古典的(70年代のメタル創世期〜成熟期)な作品は含めませんでした。
まずは初心者向けということで、比較的新しく聞きやすい曲を選びました。
「あの名曲、あのバンドを入れないなんて!」と思われた方がいたら、ご了承ください。

また、私の趣味もありメロディックメタルを中心に集めたプレイリストになっています。
かなり偏りがあるのは重々承知しておりますので、ご了承ください。

他にも、00年代・10年代初期の作品が多いですが、私がリアルタイムではまっていた頃なので、時代的にも偏りがあります……。最近の作品を追えていないので、最新曲を聞きたい方はYouTubeやSpotifyのニューリリースプレイリストなどをお聞きください。

今回はあくまで、メタルって何?聞いたことない(なんなら洋楽もあまり聞かない)なんて方を想定して作ったプレイリストですので、メタラーの皆さんには物足りないものになっているかもしれません。
これがオススメ!というものがありましたら、ぜひコメントをいただけると嬉しいです。

長くなりましたが、私のメタル講義(?)はここまで!!
普段メタルなんて聞かない方にも、新しい音楽との出会いがあれば幸いです。
音楽大好きなので、またこんな記事が書けたらいいな〜〜〜

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