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雲南旅⑦2020年1月3日・旅は続くよどこまでも

旅の最終日、極寒の香格里拉の夜はなんとか電気毛布のおかげで乗り越えられた。
ゆっくり9時に起きて、評判のホテルの朝食は中国式を選んでいただく。
上品なやさしい味の米線と、ここはなにより発酵食が盛んな地と思い出させてくれる漬物の美味しさが忘れられない。

最終日に向かうのは雲南省では最大規模のチベット仏教寺院、松賛林寺。

かなり観光地化された寺院…といえども、とにかく目に入る全てが新しくて、気になってしょうがなかった。

密教の教理を示す絵画からは、何もわからなくても伝わってくるものがある。

犬のような身体に魚の頭、巻貝から飛び出す獅子のような生き物と、見たことのない神聖な生き物にも出会った。

長い階段を上ってたどり着く寺院は厳かで、撮影はできない。大きいお堂と小さな部屋がいくつかあったと覚えている。

写真は撮れなかったが「The Nine Stages of Mental Development」と英題がついたサマタ瞑想についての絵が面白かった。悟りの道を示す路上で、黒い象がどのように瞑想を持って悟りを開き白い象になるのか描かれた絵は様々なパターンが並んでいて、その様式の違いを眺めるだけで楽しかった。

休憩所にもあった絵からわかるように、ターラー菩薩は裸で描かれるし、抱き合う男尊・女尊や、生首の首飾りをする戦いの女神カーリーなど、チベット仏教美術は直接的なエログロの世界だ。この場所では人々の生活に生と死が近かったんだと直感的に感じた。

写真撮影を手伝ってくれた人が南京大学で日本語を学んだ人だったり、麗江からずっと旅程がかぶっていたおじいちゃんたち(遠くからでもわかるくらいキャラが濃い3人組!)と写真を撮ってもらったり、思いがけない出会いにも恵まれた寺院観光となった。

松賛林寺を出た後は、行きのタクシーの運転手にナパ海までドライブしてもらう。

ヤギやヤクを車窓から眺めながら、しばらくしたらこの町まで鉄道が通るという話を聞く(現在も建設中のよう。いつか乗りに行きたい)。

街中に戻ってからは大好きなスーパー巡りでお土産探しへ。民族衣装を着て買い出しをしている一行に出会うのも他の街ではないことだった。

現地のスーパーが私は本当に大好きなのでテンション上がりっぱなし。

唐辛子の調味料のバリエーションに驚いたり、「有没有(写真を見せる)」だけで刀削麺を探したり、三只松鼠という食品ブランドに出会ったり、

旅先で毎回買い集めるペッパピッグが集まったコーナーに遭遇して興奮したり、やっぱり旅先のスーパーは最高だ。

晩御飯はまたしても大衆点評で気になったお店へ。小走りで向かう中、日本語をアニメで勉強したという女の子に話しかけられ…結局皆同じサイトを見ているので仲良く同じレストランに入店。

ヤク肉のベーコン、ヤクの肉が詰まったピザ、ほっこり味の刀削麺入りトマトと青菜のスープ、どれも本当に美味しかった!

この後甘いものを体が欲し始め、ちょうど人民元も余っていたしカフェでまったりケーキタイム。このレモンケーキはクオリティ高く(多分シンガポール?からきた店主だったはず)、かなり美味しかった…。

「香格里拉→昆明」便によって翌日の帰国便に前乗りしようと考えていた我々は、のんびりと香格里拉を出発した。しかしまずホテルまでタクシーが上がってこない。ん?と暗雲が立ち込め始める。

雪、チラチラしか降ってないじゃん…?と思うが、なんとなく調べてみたスマホには「香格里拉→昆明」便は雪で欠航と書いてある。…ええ?
信じられないのでとりあえず空港へ。やっぱり欠航だし明日もどうなるかわからないとのことを伝えられ…ここでやっと状況が分かり一同絶望!!!人は気付きたくないことに鈍感になる生き物なのだと思う。
仕事始めは帰国の次の日、これは…間に合うのだろうか!?

そこで私たちが考えたのは元の帰国便(昆明→西安→青島→関空)にどこかで合流するパターン。麗江からは通常通り飛行機が運航していることを確認し、「麗江→西安」便で帰国便に合流可能なことを確認した。
香格里拉から脱出するにはもう車しかなかったため、そのまま運転手に相談し、チェーンを付けたタクシーで雪道を4時間かっ飛ばしてもらい、麗江へ。多分1,000RMBほどとられた記憶があるけど、危険な中快諾して送り届けてくれた運転手さんには感謝しかありません。この辺りから記憶は曖昧。運転手の配偶者が「私も麗江に用事あるし一緒に行くわ〜」と乗ってくるとか、ガソリンスタンドのトイレがまたしてもニーハオ式とか、色々あった気がするけれど…。

激しい山道に目を瞑っていたところ車は急に停車し、ここは日本人も泊まれるって!と1人60RMBのホテルに宿泊することになった。エレベーターで同乗の男性たちにジロジロみられるし、3人部屋はなぜか非常階段のところから入る式だしヒヤヒヤしたけど、ホテルはめちゃくちゃ綺麗だった…。飛行機のチケット会社に電話で確認をしまくる我々。もう電話を渡してくれたフロントマン。カオスであった。
そこで再度持ち上がったのが経由便は最初の行程を破棄すると以後の便にも乗れないというルールだった。チケット会社には「西安に行かないと分からない」と言われ、その日は一旦シャワーを浴びたけど眠れなかった…。
ここからはダイジェスト版でどのように帰れたかを書き残す。本当に色々あったけど、過ぎてしまうと全てが思い出だ。周りの類まれなるスキルや気丈さに支えられてのことだけど、本当によく帰ってこれたなあと思う。

〜帰国までのドタバタ劇〜
①「麗江→西安」便:無事に乗れる
②昨晩の疲れからか爆睡→kindleとパスポート機内に置き忘れ
③パスポートはその場で無事戻ってきた(この間に友人が交渉へ)
④西安のカウンターでやはり無理と…そんなところで裏から救世主登場!
「香格里拉→昆明」便も同じ航空会社だったことから、今回だけねと鶴の一声が。
「西安→青島」便に乗れることになり、初めてのVIP用通用口から搭乗口へ!
⑤安心とストレスからの解放で青島空港でビールを買いはしゃぐ我々、
「青島→関空」便危うく乗り逃しかける(!?)

そんなこんなで関空に到着し、私はkindleを失いはしたものの諸々の費用は海外旅行保険によりちゃんと賄えた。結論、海外旅行保険バンザイ!

と、帰国まで残せたことで7本書いた旅行記もこれで終わり。
またいつか、雲南の地に行ける日が来ますように。

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