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はじめての一人暮らし

3月は引っ越しシーズン。
半ばになると、マンション前にトラックがとまったり
エレベーターが引っ越しで使われていたりとなんだかバタバタしがち。

私は小学校6年間のなかで4回転校をしたりと小さな頃から引っ越しが多く、
春に引っ越し業者さんを見かけると引っ越しのドタバタ感を思い出します。

段ボールが届き始めるといつもの家が窮屈に感じたり、『新しい家に持っていくものをピックアップしておきなさい!準備しときなさい!』と両親にせかされたり、
その日が近づくにつれて、壁際に立たされ話すことはできないはずの段ボールからも『そろそろおいらを組み立てて、物をいれておいたら?』と圧力を感じたり…。。

いつもは家族まるっと引っ越ししていた私ですが、
25歳のときに一人暮らしをはじめました。

家族といる時間が好きではいたものの、
働き者で頭がよく回る父と、家庭的で献身的で心配性な母は大きくなってもナチュラルにサポートをしてくれるので『私は本当に大人になれるのであろうか』と不安を感じ始めたのが大学を卒業したあたり。

実家にいると、いまの暮らしに果たしていくらかかっているのかがわからない。
この暮らしをするために、いくら稼げばいいのかも見えてこない。
それなのに栄養のあるご飯が3食、お風呂も入って、好きな化粧品やお洋服を買って、旅行もできるって…どうなの?

恥ずかしながら、料理上手な母に甘えつづけ生きていた私は月に1、2回くらいしか家のキッチンに立っていませんでした…。
ちょこちょこお手伝い、簡単なパスタやチャーハン、カレーは作ったことはあったけど、母のように毎日メインおかずやら副菜やらを作ったことはなく。。。
『このままだと本当にやばいのでは』と感じ始める日々。

少しずつ、一人暮らしをリアルに考えはじめ
一人暮らし用の貯金をはじめたり、友達と料理教室にかよいはじめました。
魚をさばくレッスン中、これ手術みたいだ…!と貧血で倒れたのは私です。

そんなこんなで、着々と準備をすすめるなかで
仕事の昼休み中、一本の電話が。
『来月までに引っ越してこれます?』
名古屋で一人暮らしをしなくてはならないことが突然決まりました。

引っ越し業者を決めるのも本当に大変。
引っ越し見積もりサイトに登録したら、じゃんじゃんウチにしませんかの電話祭り。
ちょっと怖かった。

仕事の休みの日に名古屋へ行って、1日で物件探し。
ワンルーム、1DK、1LDKがよくわかってないまま探していたな。
ああ、私って無知だなと色々焦りました。
たくさんの家を見た中で、
日当たりがよくて、一番広かった部屋を見たときに『ここなら帰ってきたいな』と思いすぐに契約。
意外と物件探しって、直感ですぐ決まるんだなという発見がありました。

電気会社や水道、ガス、ネット回線…あれやあれやと契約やら電話での確認に追われる日々。
年金やら保険やらカードやらの住所変更に、転出届。
やること多すぎて、引っ越しが楽しみだの寂しいだの言ってる暇はなく当日がやってきます。

『足りなかったら自分で買いなさい!』ピリピリした父にそう言われ、最低限必要なものを詰め込んだ段ボールはあっというまに引越し業者の方によりトラックに積み込まれました。
段ボールの数も10くらい。
私ひとりの生活は、なんてチンマリしてるのだろう。

引っ越し業者の方が1名。
ひょいひょいと20分もしないうちに運ばれ、ほぼ空っぽになった私の部屋。

『よし!!!いっちょあがり!』とスッキリした私の後ろで、母が泣き崩れていました。

毎日いっしょにいた子供が遠くにいくというのは、シンプルに寂しかったのかもしれません。
私も寂しかったけど、その時は頭が仕事モードになっていたので泣かず。
ちょっと冷静で客観的になれた私に、独り立ちをかんじました。

そこからどんなふうに家族と会話を交わして家を出て、
新幹線に乗って、新居に着いたことは全く覚えていないのですが…。

がらーんとした私の部屋で、泣いた母を見て
ちょっとやそっとでしっぽ巻いて帰ってきたらダサいな、がんばれ私。とも思えたのが引っ越しの時の心に残った一コマ。

これから引っ越しをされる方、
引っ越しの最中に感じるきもちや1シーンも大切な人生の一部。
味わって楽しんでくださいね。

お気をつけて、いってらっしゃい。

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