ナオミちゃんの幕の内弁当7,000円
昼キャバというのがあって、
昼間っからお酒飲めます。
蛇口ひねればビール。
そこにいた時のはなし。
30分5,000円
女の子三回転
指名2,000円
夜とは違う客層。
来るのは、
営業周りの人の休憩
ホストの朝帰り経由での営業
平日お休みの人
飲食店営業
おじいちゃん
この、おじいちゃんのはなし。
男も女もそうですが、
年齢を重ねると性別から解放されますね。
ホルモンの数値からも、
50代あたりで男性の中の女性ホルモンの数値は女性より上がるし、女性もまたしかりだそうです。
おじいちゃんの中は男性ホルモンカスカス。
おじいちゃんの外はヨボヨボ。
人間、役割に縛られて苦しってなるけど、
何の役割もなくなると途端ヘナヘナになるのが不思議。
無害なおじいちゃんは、
ちょっと臭い空気ぐらいの存在に扱われがちだから、ちゃんとした"1人""オトコ"として見られると生き生きします。
奥様が亡くななられて、
子供もあちらこちらに住んで、
おじいちゃんひとり。
手帳の中には未綺麗にした奥様の写真。
持ち歩いてて見せてくれる。
おじいちゃんは、
酷く淋しいわけでも
鬱なわけでも
オレの人生
これからどうこうしてやるゼ
みたいなのも もうない。
お弁当食べにくるんです。
一緒にごはん食べてくれる人を求めて。
もはやファンタジーに近い若い女の子
異世界に求めて。
ナオミちゃんを指名するおじいちゃんのはなし。
おじいちゃん、
鼻に管いれて酸素をすってる。
自分の肺では酸素取り込み切れないから
酸素ボンベをガラガラ引きながら来るんです。
管入ってるから喋んない。
何、話してんの？
ってナオミちゃんに聞いたら
筆談してるって。
フードのオーダー入るから、
何か食べるの？
って聞いたら
もう、食べられない。
おいしそうに食べてるとこ見るのが嬉しいって。
孫にお菓子やる感覚。
どのお客にも、
夜のウェーイ
みたいなのがあんま無いこのユルさ。
ギラギラの中でせいぜいイキり終わって、
徹夜明けのヨレヨレしたワイシャツの襟
なんか臭い
洗いたいけど洗濯はもう終わったよって
どこにも持っていけない
そんなような気持ち。
それをみんなが持ち寄ってるエモいフロア。
いつもの曜日におじいちゃんが来なくなって
ナオミちゃん着替えながら、
「〇〇さん来てないんだよね」
って。
「死んじゃっだんじゃない？」
「ちょくちょく入院するんだよね」
「そっか」
ひどく同情するほど仲良しじゃない。
泣きやしない。
着替えやらメイクポーチをロッカーにしまいながら、酸素ボンベのじいちゃんたちを知る女の子たちがコンマ何秒のまたたき。
黙祷みたい。
なんかストーリーだなって。
水曜日のお店の子はみんなおじいちゃん知ってる。おじいちゃんの家族は誰も女の子の事知らない。
30分7,000円の幕の内弁当。
高い？
誰かが知ってくれているだけで、
人はかなり幸せななんじゃないかなって思う。
キャバクラのケチな穣でも
看護師さんでも
特殊掃除屋さんでも
解散ライブ惜しまれながら涙のお別れ
棺桶叩きながら大泣き、いらん。
「あの人
どっかで元気にしてるといいな」
それだけで
その人はどっかで元気にしてられる。
10年以上も前のはなし。
こんな事を考えながら
絹でできた飾り物を製作しています。
心は丸く穏やかに、手先は常に臆病に
成人式髪飾り、結婚髪飾り、和装小物、飾り物、ハレ日のご準備、
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