歩くサウナか重量挙げか?!何が何でも歌います!楽しい衣装達!!
歌劇場の舞台で
毎日公演している私達、
オペラの舞台といえば
舞踏会用のドレスで
優雅に華麗に
演じているんだろうな
と、素敵な想像を
されているのでは?
そんな夢のようなコスチューム
残念ながら
稀
です。
今日は
なにいー?!
となった衣装の数々
ご紹介致します!!
まず入団して直ぐに
度肝を抜かれた衣装は
鳥
天使のような翼が
ついているなんて素敵💓
違います
いわゆる きぐるみ
あちこちに綿が詰まっている
ものです!
出ている部分は顔、手のひらと
脚のみ。。。
頭には鳥の頭部の被り物
顔面、鳥の色に塗られます
きぐるみが巨大な為
全員の衣装が
楽屋に入りきれず、
リハーサル室が臨時の
楽屋になりました
これを着用すると
布団に包まれているような
幸せ〜 な感覚になり
思わず寝ちゃいそうになります。
ここまでは良いのです。
けれどこれを着て
歌うのはどうでしょうか?
頭に乗っている被り物
これをつけて歌うのは
テクニックどころの
話ではありません。
そもそも自分の出している声がボーッとしか
聞こえない!!
しかもこのオペラ
全員が着ぐるみの鳥で
現代曲!!
リズムもメロディーもかなり
複雑で
歌うのだけでも結構大変!!
こんな着ぐるみを着ているので、
小さな私は
指揮者が他のメンバーの着ぐるみに邪魔されて
見えなーい!!!
フェルトの山が響きを吸ってしまい
自分の声がきちんと響いているのかも分からない😱
キャー
私歌ってるのかしら????
という感覚
実はこれは舞台上で
よく起きるんです~
こんな被り物の他にも
カツラや帽子など、
地毛のまま出る事は
ありません!
歌う時は
常に何かが頭に乗っている
というのが私達の
日常です!
歌うのに凄く邪魔になるので
この被り物、
ニュービーの私は
本当に
とーっても嫌でした!!
しかしこれも演出。
いやよ
なんて言えません!
私達、不可能を可能にする
合唱団
なんでもこなすーのよね
と他の部署から扱われていますが
人知れず
冷や汗に溺れているのです!
舞台裏では
もうこんな状態慣れっこの
先輩のでかい鳥が容赦なく
新入りに
体当たりしてきたり
おふざけも
満載。。。
これは何年も前の公演ですが、
いまだに
私達の話題に
頻繁に登場する
この作品、
公演歴のなかでも
かなりインパクトがある衣装でした!!
鳥の衣装の次は
昆虫!!
蟻!!です
こちらはオペレッタの作品中の衣装
全身つなぎの黒づくめ
黒い長靴
黒いヘルメット!!
そこに電球のついた光る触覚
見た感じはかなり
可笑しいです😂
1人だったら絶対着たくない
でも
みんなで着れば怖くない👍
見た目は滑稽ですが、
この姿で歌うナンバー
もう全然嬉しくない
超絶早口の超絶技巧の曲
オペレッタには非常に多い
どこまで早く歌えるのかを
試させるような曲です♪
こんな曲は息継ぎする場所さえ有りません
そしてテンポ指示は
可能な限りの高速で
!!!!
イジワル〜
合唱ブレス(それぞれが違う箇所で息継ぎをする事)で
無理やり息を吸えて窒息は免れても
高速で過ぎていくメロディーに
再び
飛び乗れないという問題が起きます
そしてこんなナンバーに限って
演出もさらに盛り上げようとします😱
という事はここに大抵コレオ(振り付け)がつきます!!
この蟻さんナンバーは
マーチングバンドのように
動き回り
皆でフォームを作ります
手には
何故か長ーい棒も持っています
この棒を操りながら
舞台上を踊りまくるのです!!
もう考えている暇もないほど忙しく
工場で被る結構な重さの
ヘルメットを被っている事など
気にかけている暇も有りません!
せわしく
動き回るため
指揮者もまともに視界に入ってきません!!
Go サインの後
最後まで突っ走るしかない
というかなり危険な山場です!!
こんな極限状態では
アクシデントが起こってしまう事もあります。
ある日の
蟻部隊、
開始とともに
突っ走り過ぎて
オーケストラを置いて行ってしまう状況に
陥りました!!
動揺する私達!!
視界の端に
見え隠れしている
もっと動揺している指揮者の顔!!!
しかし
もうやめられない止まらない!!!!
ごめんなさーーーい!!
蟻部隊
見事に突っ走りました。
蟻部隊
終わった時は息切れ状態
超ハードな
フィットネスナンバー!
汗もダラダラです💦
出番は正味4分というところでしょうか。
まさに本日公演の頂点とも言うべき
私たちの極芸(極限)でした!!
これを見た
お客さんは一体どんな
反応をされているのでしょうか?
あの拍手から推測するに、
かなり楽しまれた感触が
蟻部隊グッジョブ?!?!
(惜しくも指揮者とタイミングが合わなかった公演の後日、彼はもう一度音楽練習に来てくださりました。
彼曰く
分かっているんだ、
原因は音楽じゃないという事を。
しかし、
頼むから
何とか
舞台上から僕を見つけて
合わせてくれ!!
今日は頼むよ!!)
今日は幸運の女神が微笑んでくれるのか??
これは難曲です!!
昆虫が続きます
さなぎ!!!!
私はこの作品では
大きな白い毛のはえた 蛾 のさなぎ
になっていました。
これはもう頭の4倍はあるかと思うほどの
けむくじゃらの被り物に
蛾特有の大きな触覚
そこには舞台効果抜群の
ライトが埋め込まれております。
そしてサナギの体。
首から足の先まで筒状のペチコートに包まれていて
両手は
ペチコートの中で
頭と腹部を中から照らす
ライトを点滅させるという演出を
行います
メイクは全顔白塗りで、
額から鼻筋、顎にかけて
暗闇で光る
蛍光塗料が
塗られていて
暗い舞台の上では
美しくも怪しい姿を
見せるのです。
何と格好いい役どころ!!
しかし難関は至る所から私たちを襲います
この効果抜群のライト
時間が経つにつれ
ものすごく熱をおび
熱くなるのです
毛むくじゃらの被り物
プラス
長いペチコートの下には
黒い繋ぎの
体にとてもピターっと
フィットしているナイロンスーツ
時は6月
熱が篭ります!!
舞台上で
メイクが顔の上を流れ落ちる感覚がする。
しかし
手は
ない。。。
顔がムズムズしてもう狂いそう
これはもうほぼ我慢大会!
更に嫌な考えが
頭の中ををよぎります
こんな状態でめまいを起こし
倒れてしまったら?!
舞台の床は平らではなく
傾斜がかかっている
手は使えないので
きっと
転がっていくんだろう
と、倒れて転がっている自分を想像をしながら
あーそんなことになったら
シリアスなオペラが
喜劇に変わってしまう!!
とんでもない、とんでもない
そんな事が起こる事は絶対にあり得ない!!
私達は
必死に
毎回気を引き締めていました。
巨大衣装 次々行きます!!
次は昆虫の世界を離れ
重量挙げ級!!
あるミュージカル公演のおり
この作品の衣装
8キロ
は軽く超えてるだろう
ネオプレン製(ダイビングスーツの生地です!)
頭には50cmはあろうとんがり帽子にベール付き
蛍光色で形もとても素敵!!
ここで問題発覚!
こちらでは12歳児くらいの体の大きさの私、
コレオ(振り付け)のターンをしたら
錘の様な衣装は勢いがつき
とっ、止まらない!!
もう一回転入ってしまいましたーーー!!
あああ
次の振り付けが出来なかった!
「何やってんのお前??」
と踊りの上手いパートナーDから
容赦なく低ーい囁き声😩
ああ、奴怒ってるな。。。
まあ、180cmは楽に超えてる君には
私の苦労は解らんだろうな
その上、時は
やはり6月
ヨーロッパの歌劇場
舞台はクーラーがついていますが、
合唱団員楽屋は暑さも耐え忍びます
舞台裏、熱気でムンムンです
ヨーロッパの夏も
年々暑くなってきていて、
6月終わりは30度を超える事も
多くなってきました!!
ネオプレン製の衣装の
下にある体も
すっかり
海状態
動くサウナだねこれ
と皆で
笑い合っておりました。
けれど、
再び頭をよぎる
いゃ〜な考え
これを着続けていたら暑さのあまり、
気分が悪くならないのか??
この状態で
舞台の上に倒れ、
起き上がれずに
転がっている自分を想像すると。。。
こんなことが起こったら
何年もの間
合唱団内で
語り継がれてしまう
私の面子にかけても
何がなんでも倒れられない!!
と、衣装の勢いと熱さに
負けないように
美しい衣装の下では
逞しく
ガニ股で踏ん張って踊っていました
まあ、ドレスで
足は外からは見えないので
涼しい顔をして
踏ん張り通しました!!
何でも屋の合唱団員
今日も熱気を帯びた気合いがこもります!!
考えてみると今日は
ほぼ巨大な衣装を
ご紹介していますね、
巨大な人間ではない衣装の他に
正統派の美しい
伝統的なドレスないのか?!
もちろん
規格外のものがあります!!!!
みなさん、ベラスケスのあの美しい絵画
マルガリータ姫が着ているあのブルーの
素晴らしいドレス
ご存知ですよね!!
女の子の永遠の夢!!
あんな衣装が
やってきました!
女性合唱団員
もう大興奮です!
しかし!
ドレスの大きさが半端なかった!!
楽屋には各自ロッカーがあるのですが、
そこに今日着用する衣装が
掛かっています
しかし、このドレス、
巨大過ぎて
ロッカーに掛かりきらない!!
そんなことより
私達にとっての切実な問題は
WCに入れない。。。
衣装着用の前に
しっかりとご用をたし、
公演終了まで
後は
ひたすら耐え忍ぶ。
出番を待つ舞台袖では
全員が入りきらず
どこもかしこも
生地で一杯です
ソリスト達は
通してくれ〜
と焦りながら
私たちのドレスの生地の間をかき分けて
舞台へ押し出されて行きます
さて、私達、場所が無いので
カニさんのように
横歩きでの状態で
登場です。
きっと外から見たら
面白い場面になってしまう!
と推測されますが、
ここは
不可能を可能にする合唱団員
なんともエレガントにジェスチャーをしながら
完璧な登場をこなしています!
しかも顔には素敵な笑顔も!
皆無事に舞台上へ登場できました!!
次のミッションは
ダンス
横にいるパートナーは??
遥か遠くに
手を思い切り伸ばさないと
届かない。
届け〜!と2人必死で腕を差し出す
ターンをするにも
場所が足りない!!
おっと!!
隣のペアーの先輩が
私のドレスに引っかかって
動けないでいる😱
彼女とドレスをぐいぐい言わせて
何とか回転します!
なんと力がいるダンスなの?!
という事で
今日も十分運動したな。
公演終了後
手応えのある疲労を各筋肉に感じます。
美しい衣装にも
演技をするとなると
まさか!!
と思うような障害が発生します!
衣装デザインの方
女性合唱団員が舞台上でこの衣装を着て演技する事は想像していた、はず??
一見すると
何の問題もないように進んでいく
今日の公演
衣装の下には
想像もできないほどの
苦労の結晶があるのです💪🏻💪🏻
衣装談義
次回に続きます~
どんな衣装が飛び出てくるでしょうか??
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