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【今どきの語釈】前世

友人がVTuberのファンなのですが、VTuberの”中の人”が、そのVTuberになる前に活動していた事象のことを「前世」って呼ぶんですって。「VTuberのXちゃんの前世は声優」という感じですね。へえええ!転生の概念の変化がすごい。

アイドルが引退する時に「卒業」と言う言葉を使い始めた時も、思いきった使い方だな!と驚いたものですが、今やすっかり定着してしまいました。今どきは転職や離婚などの場合にも「卒業」は使われますよね。「母親業卒業」とか。幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、会社、女の子、妻、母、ギャル、デブ、陰キャ、酒、タバコなど、卒業の機会は当人の心意気次第でいつどこにでも転がっているものです。自分を変えて、自らの成長を誓う言葉になりました。

「前世」も卒業と同じように、ステージを変えて再スタートした時に使う言葉だと思いますが、より生まれ変わった感がすごい。以前の自分をステップにしたわけではなく、以前を断ち切って全く違うものに生まれ変わっているからこその「前世」ですよね。昨今人気の異世界転生モノの世界観も相まって、人生100年時代、人は生きながら何度でも生まれ変われるという気にさえなってきます。まあ、前世の人間関係も全て断ち切って何度でも生まれ変わるのは社会人としてどうかと思いますが。

少し前に、息子の突然死を受け止めきれない母親が、息子は生前に大好きだったRPGゲームの世界に転生し、勇者として異世界で旅をしているのだと思い込むことで現実を受け入れることができるようになる、と言う漫画を読みました。私もいつか両親が亡くなる時には、彼らは天国に転生したのだという妄想に浸りたい。自分も死んだらひどく都合のいい世界に転生したい。そしてリアル転生する少し前には、バ美肉して一足先に転生を体験してみるのも面白いかもしれません。

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