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モネと大聖堂と

フランスのルーアンには、モネが描いた大聖堂があります。同地で採掘される白い石灰岩で造られたゴシック様式の大聖堂を、モネは睡蓮や積藁などと同じように、天候や時間帯を変えて何枚も描いています。

さて、どこから描いたのかというと、大聖堂前の狭い広場の斜向かい、今は小さな観光案内所「i」が入っている建物の2階からなんだそうです。普段は非公開の空き部屋に特別に案内していただいて撮ってきました。よく見ると、確かにバラ窓の角度が一緒です。当時は女性の下着店の試着室だったそうで、その一隅に間借りして衝立を立てて作品を描いていたものの、どうしても衝立の向こうに目が行ってしまい、女性客からのクレームで追い出されたそうです。

その話を聞いて当時、巨匠でも魔がさすことはあるのだなあ、と思っていたのですが、彼の公然の秘密である”出来ちゃった再婚”を知った今となっては、女性に弱く魔がさしがちなモネ、という印象になってしまいました。そうであってさえ、後世に残る作品を描きさえすれば世に赦されるという、女性としてはちょっと複雑な真理に思いを馳せてしまいます。

ちなみにモネの絵にはファサード向かって左側に小屋が描かれているのですが、現在はありません。何しろ12世紀から建て始めて16世紀に完成したとされていますが、一番高い尖塔が作られたのは19世紀という長い歴史の建物なので、そういうこともありますよね。向かって右側の塔は「バターの塔」。所以はいろいろですが、真っ白で、確かにちょっとバタークリームのような白さです。

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