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一途ならいいというものでもない

好きな人のことを一途に想うって素敵なことのように感じるが、じゃあその方が恋愛がうまくいくかというと、それはまた別の話だと思う。


私は、好きなおじさまができるとその他のことがおろそかになりがちなタイプだ。
彼以外の男の人が目に入らなくなるのはもちろんのこと、通常の人付き合いも減ってしまう。
会社の飲み会なども断りがちになるが、大好きな友人達と会う時間すら減る。


ただ、幸いにして私の友人達というのは私と同じく、
恋人 > 友達
という優先順位で生きているタイプが多いのでお互い困らないし、顰蹙を買うこともない。
若い頃なんて『彼の方を優先していい条約』まで締結していたぐらいだ。


たとえば友達とご飯を食べる約束をしている夜、待ち合わせの駅改札口で待っていると、その彼女から連絡が入る。
【ごめん花野!急に彼から今日空いてる?って連絡が来た!】
【まじ!!いいよいいよ、そっち行って!私このまま帰るから】
【あ、じゃあ旅行のおみやげだけ渡す!もうすぐ着くから改札で待ってて!】
5分後、彼女はバッグからおみやげを取り出しながら駆け寄ってきて、
「ホントごめん〜〜!これおみやげ!」
「オッケイオッケイ!早く行きな!」
「ありがと、また今度ね!」
言い訳も、なりゆきの説明もいらない。
条約の効力がすごい。
お互いの恋愛盲目度もすごかった。
こんなドタキャン、世間では通用しないから気をつけて!と過去の私達に言いたい。


昔、愛していたおじさまに深夜、情熱的なメールを送ったことがあった。
「おじさまにいじめて欲しくて花野はもう我慢できません」的な、熱々な感じのやつだ。
何もかもそっちのけでおじさまのことを想っているのに、会えない日が続きすぎて頭がちょっとアレだったのだ。
その晩の内は音沙汰がなく、翌朝になってから返信が来た。

【朝になったから言うんだけど、週末から〇〇に発つ。帰国は△日。その後すぐ□□。花野をいじめるのは当分お預けだな。でもあなたのことはいつも考えてるよ】

‥‥‥‥‥‥。
なるほど。
「朝になったから言う」というのが絶妙な表現だなと思った。
私の頭が熱々な時に、海外に行って当分帰って来ない(しかもその内一つは奥さん同行)などと言えば、私の心が乱れてややこしくなると思ったのだろう。
深夜って気持ちが昂りがちですもんね。
さすがおじさま、練れておられる。
正解だったと思います‥‥。


さらに昔むかし、別のおじさまに恋していた時の話だ。
彼は「忙しい」「予定が読めない」が口癖で、いつも誘いの電話は直前にしてくる人だった。
「今から会える?ダメならまた今度」みたいな。
要するに私が都合よく扱われていただけなのだが。
しかし彼のことが大好きだった私は、常に彼からの連絡を全力で待っていた。
常にクラウチングスタートの姿勢。
いつ誘われてもいいように、超可愛くて色っぽい下着と、髪をきれいに巻くためのコードレスヘアアイロンをどこへ行くにも持ち歩いていた。
彼の名前を取って「○○さんセット」と呼ばれるそれは、ネタになるほど友人達にも有名なセットだった。
そんな頃、仲の良い友達の一人がハワイで結婚式を執り行うことになり、私も参列することになった。
ウキウキ準備している時、別の友達に
「さすがにハワイには○○さんセット持って行かなくていいね」
と言われ、思わず爆笑した。
ハワイで彼から誘いの連絡が来ても断るしかないもんな。


もう、当時の私が馬鹿すぎてどこから叱ればいいのかわからない。


こんな風に万難を排してのめり込んでいた恋愛はうまく行った試しがない。
軽んじられたり重たがられたりロクなことが無かった。
「この女はちょっとやそっと放っておいても大丈夫である」
「そんなに思い詰められても困る」
って思われちゃうのだ。


一途であることは良いのだ。
ただ「一途とのめり込むことは同じじゃないぞ」と自分自身に言いたい。
すぐ忘れて同じこと繰り返すからな、もう。
ここに書き留めておくので今後の参考とされたい。(私よ。)





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