今年もボチボチやっていこう
「年が明けたのに、なんとなく気持ちが晴れないんだよね。」
そう呟いた私に、娘はこう言った。
「なんか分かる。新しい年を迎えたら『心機一転、頑張りましょう』みたいな雰囲気が漂ってるんだけど、私の場合、『あー、また頑張らなきゃいけないな』っていう変なプレッシャーを感じるんだよね。」
そうそう、よく分かる。年末は1年を振り返り、些細なことでも「よくやった」と自分を労い、僅かながらでも達成感を味わえるけれど、年が明けると急に襲ってくる使命感。なにかを成し遂げなければと、プレッシャーさえ感じてしまう。
節目っていうのはとても大切なことだけれど、年を越したその日を境に生活が一変するわけではなく、急に気持ちを切り替えなければならないわけでもない。
気持ちの切り替えができないからと、自分を責める必要はなく、新たに迎えたこの年に起こる出来事に、ひとつずつ向き合いながら、ボチボチとやっていけば良いね、と私と娘は笑い合った。
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私には好きなテレビ番組がある。それは「ポツンと一軒家」である。
大自然に囲まれた場所での暮らしへの憧れと、便利な生活にどっぷりと浸かった私が果たしてその環境で生きていけるのかという疑問を、自分の頭の中で行ったり来たりさせながら、この番組を見ている。
ある放送回で、和歌山県の山奥に住む90歳のおじいさんの暮らしを紹介していた。その方の家の中はとても整理整頓されていて、ご本人もとても綺麗好き。湧き水を浴槽(貯水専用)に貯めて利用されている。
家の補修も全部ご自分でされているし、麓まで下りる道の途中に架けられた橋もご自分で作られたとか。
このおじいさんの暮らしの中で私が一番印象に残ったことは、食事の準備をしながら、使ったものは浴槽に貯めた水ですぐに洗い、決まった場所にしまうということ。
卵焼きを作るために使ったお茶碗、箸も、作っている間にさっと洗い定位置に片付けて、卵焼きが出来上がったら食べる前に、使ったフライパンもさっと洗ってしまう。
それから整頓された居間で大好きな晩酌をしながら卵焼きを食す。
この一連の流れを見ていると、私まで爽快な気持ちになってくる。そして、これって、大自然の中での暮らしならではのことではなく、町の暮らしでもできることなんじゃないかと気付いた。
自分の暮らしの中でとても参考になることが、この番組にはたくさんあるから見ていてもとても面白いんだと思う。
山奥での暮らしには憧れはあるけれど、私の中で「山奥だからそういう暮らしができるんだ」という思いもあった。でも、今暮らしているこの場所でも工夫できることはある。山奥で暮らす人たちを見て、自分の生活でも活かしてみようと思ったことをひとつずつ、ボチボチとやってみながら、おじいさんが言っていた「ストレスのない丁度良い暮らし」が、私の今の暮らしの中でできたら良いなと思う。
ヘッダーはふうちゃんのイラストをお借りしました。ありがとうございました☆彡
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